ブレードサーバー、ラックマウントサーバー、タワー型サーバーそれぞれの特徴と違いは?

物理サーバーには筐体別に複数種類があります。しかし、それぞれどのような違いがあるのか、またはどのような特徴があるかについて不明点は多いかもしれません。ここでは下記3つの物理サーバーについて、詳しく解説します。

  • ブレードサーバー
  • ラックマウントサーバー
  • タワー型サーバー

また、各物理サーバーの筐体形状による違いをお伝えしつつ、各メーカーのおすすめサーバーも取り上げました。物理サーバーへの理解を深め、製品選定の参考にしてください。

【筐体形状別】サーバーの概要説明

まずは、筐体形状別のサーバーの概要についてご説明しましょう。一般的に、物理サーバーには下記の3種類があります。

  • ブレードサーバー
  • ラックマウントサーバー
  • タワー型サーバー

これらの各サーバーは形状が異なり、導入するシステムの規模や場所、用途などによって適しているサーバーが違います。

ブレードサーバーとは

ブレードサーバーとはCPUやメモリ、ハードディスク、その他部品が細長い小型の筐体に搭載されているサーバーです。その形状が薄いため、「ブレード(=刀)」という単語として表現されています。また、ブレードサーバーは複数の筐体で構成されることが多く、それらはブレードシャーシと呼ばれる筐体に格納され、ブレードシャーシ内から各ブレードサーバーへ電力やケーブルが供給されます。

シャーシ(サーバーを格納する筐体)にブレード(サーバー本体)を差し込んで使用される物理サーバーが、ブレードサーバーです。一般的な物理サーバーよりもサイズが小さく、かつ多くのサーバーが搭載されることから大規模なシステムに利用されやすい点が特徴。物理的に限られたスペースで、大量のサーバーを運用したい場合に向いているサーバーと言えるでしょう。

ラックマウントサーバーとは

ラックマウントサーバーとは、「サーバーラック」と呼ばれる筐体に格納されるサーバーです。ラックマウントサーバーも複数のサーバーを組み合わせて使用することが多いため、中規模から大規模なシステムに向いています。専用のラックにサーバーが格納されるため、セキュリティが守られていたり、運用保守が容易になったりすることが特徴。サーバーラックに複数段積み重ねて利用されるのが一般的です。

タワー型サーバーとは

タワー型サーバーはある程度の高さや奥行きのある筐体で、単体で使用されることが多い物理サーバーです。オフィスの一角や限られた場所へ設置しやすく、専用のサーバールームが無くともそのままサーバーを据え置くことができます。ブレードサーバーやラックマウントサーバーのような拡張性や他サーバーとの連携が難しいため、比較的小規模なシステムで利用されることが多いサーバーです。

サーバー筐体形状による違いとは?

筐体形状ごとに3種類の物理サーバーをご紹介しました。続いて、各サーバーのメリットとデメリットについて比較解説します。

ブレードサーバーのメリットとデメリット

メリット

  • 維持運用コストが削減できる

各ブレードサーバーは、ブレードシャーシ内の給電ユニットや放熱ファンを複数のブレードサーバーで共有します。そのため、管理が容易になり、部品交換の手間が削減可能です。消費電力もラックマウントサーバーに比べて低いため、電力消費に関するコストも低くなりやすいでしょう。

  • サーバーを増設する場合の手間がかからない

ブレードサーバーを増設したい場合には、ブレードシャーシに新たな筐体を差し込むだけで済みます。そのため、新たにサーバーを設置する場所を確保したりスペースをとったりすることがないため、設置が容易です。ラックマウントサーバーやタワー型サーバーを増設する際は、新たに設置スペースを確保しなくてはなりません。

  • 設備がシンプルになりやすい

ブレードサーバーはラックマウントサーバーやタワー型サーバーに比べて接続するケーブルの本数が少ないため、設備がシンプルな構成になりやすい点が特徴です。設備がシンプルになることによって、誤った配線や抜線のリスクが軽減されたり、不要になったブレードサーバーの撤去作業などが容易になったりするメリットがあります。

  • サーバーの拡張がしやすくなる

システムの規模を大きくしたりサーバーの性能を改善したりする場合、サーバーの増設が必要となります。しかしブレードサーバーを使用していれば、その設置の容易さからサーバー拡張がしやすいでしょう。サーバー台数を増やすことで冗長化が実現でき、システム全体の信頼性も向上することが期待できます。

デメリット

・導入費用が高額

ブレードサーバーは他のラックマウントサーバーやタワー型サーバーと比較して、高額になりやすいでしょう。そのため、ある程度の予算が無いと導入が困難な場合も考えられます。

ラックマウントサーバーのメリットとデメリット

メリット

  • セキュリティが堅牢である

鍵付きの専用のサーバーラック内に設置されるので、管理者以外は物理的にアクセスできません。そのため、セキュリティが担保されます。

  • サーバーの管理や運用がしやすい

サーバーラック内に、サーバーをはじめとする関連する機器が格納されています。1か所に機器があることによって、サーバー類の管理や運用がしやすくなる点がメリットです。

  • 物理故障リスクが軽減される

ほこりがたまると機器故障もありえますが、サーバーラックに格納されることでほこりなどの外からの汚れから守られます。これによって、機器故障のリスクが軽減されるでしょう。

デメリット

  • 増設する場合新たに場所が必要

ラックマウント型サーバーを増設する場合、新たにラックが必要になるため設置場所を確保しなくてはいけません。また、大規模なシステムになると専用のサーバールームが必要になるため、運用コストも増えるでしょう。

  • 消費電力が大きくなりやすい

他のサーバーと比べて、消費電力がもっとも大きくなります。

タワー型サーバーのメリットとデメリット

メリット

  • 導入費用が少額

タワー型サーバーはブレードサーバーやラックマウントサーバーに比べ、低コストで導入することができます。そのため、予算を押さえたい場合にはおすすめできるサーバーです。

  • サーバーの設置が容易

タワー型サーバーは据え置き型の機器であり、専用のサーバーラックが不要となります。そのため、購入後すぐに設置し使用することができるので、サーバー導入までがもっともスピーディーです。

  • 小規模なシステムから始める場合に適している

導入コストが低く設置も容易なため、スモールスタートからシステムを構築・運用してみたい場合などにおすすめです。

デメリット

  • 増設やサーバーの拡張がしにくい

タワー型サーバーは、その筐体単体で利用されることが多く、複数サーバー間での連携や性能の拡張が行いにくいというデメリットがあります。もしシステムの規模を大きくしたい場合には、ブレードサーバーやラックマウントサーバー導入検討が必要となるでしょう。

以下に各サーバーの項目ごとの比較をまとめましたので、参考にしてください。

 ブレードサーバーラックマウントサーバータワー型サーバー
導入費用
サーバーラックの有無必要必要不要
搭載サーバー数多い普通少ない
設置や増設の煩雑さ容易煩雑容易
システムの規模大規模~中規模大規模~中規模小規模

おすすめメーカーのサーバー製品について

続いて、おすすめの具体的なサーバー製品をご紹介します。自社システムへのサーバー導入を検討するにあたり、ぜひ参考にご覧ください。

デル

PowerEdge

デルの「PowerEdge」には、エントリーレベルとアドバンスの2種類あり、システムの規模や予算に応じて選ぶことができます。

  • エントリーレベル

システム構築をこれから始めようとする場合に最適な、シンプルかつリーズナブルなサーバー。各製品のシリーズは以下の通りです。

New T150タワー サーバー(インテル)

PowerEdge T40

PowerEdge T140

New T350タワー サーバー(インテル)

PowerEdge T340

  • アドバンス

キャッシュ容量と処理速度の性能が高く、プロセッサー数や拡張性、仮想化のレベルを高く必要としている場合に最適なサーバー。各製品のシリーズは以下の通りです。

PowerEdge T550

PowerEdge T440

PowerEdge T640

<株式会社ECCのPowerEdge導入事例>

課題:

・サーバーの老朽化による運用負荷の増加や、シンクライアント端末の調達に課題あり。

・さらにシステム更改に伴い、迅速なサポートが可能なハードウェアメーカーを探していた。

・新型コロナウイルス対策としてリモートワークができるインフラも必要となる。

成果:

・社員全員が出社できなくても業務ができる環境を構築できた

・システムのパフォーマンス向上と運用負荷低減を実現できた

・1台のノートPCで、リモートデスクトップやWeb会議、動画確認を実現できた

▼参考

https://www.delltechnologies.com/ja-jp/case-studies-customer-stories/ecc.htm#collapse

  • Dell EMC VxRail

物理サーバーではありませんが、Dell Technologies 社が提供するDell EMC VxRailも選択肢の一つに入れておくと良いでしょう。Dell EMC VxRailは、「HCI(ハイパーコンバージドインフラストラクチャ)」です。HCIとはサーバーやストレージ、ハイパーバイザー、ネットワーク管理のすべて兼ね備えたソフトウェアベースの統合システム。物理サーバーにはない、次のようなメリットが挙げられます。

  1. システム構築スピードが早い

一般的なシステム構築にはサーバーやストレージ、ネットワーク機器など各種製品を揃えなくてはいけません。しかしDell EMC VxRailにはシステム構築に必要なコンポーネントが全て含まれており、事前検証も完了しています。そのため、システム構築から運用開始までのスピードが格段に早くなります。

2. システム拡張が容易

Dell EMC VxRailを利用することで、システムの拡張が容易になります。追加で機器を購入する必要がないため、迅速にシステムを拡張できることがメリットです。

3. システム運用やメンテナンスが簡素化される

通常のシステムではサーバーや仮想化ソフトウェア、ストレージやネットワーク機器などでそれぞれ保守運用が必要となり、管理も煩雑になりやすいでしょう。さらに、各機器に詳しい技術者も揃えなくてはいけません。しかしDell EMC VxRailでは、単一の管理ツールからシステム全体を一括運用することが可能となります。そのため、システム運用やメンテナンスが実現可能となり、保守運用コストが削減されます。

HP

HPの「HPE ProLiantシリーズ」は自動化されたプロセスに従って、システムインストール、セットアップ、構成を実行でき、インストールに必要な時間が33.3%短縮されます。これによって、システム構築時間の短縮につながるでしょう。各製品のシリーズは以下の通りです。

HPE ProLiant MicroServer Gen10 Plus

HPE ProLiant ML30 Gen10

HPE ProLiant ML110 Gen10

HPE ProLiant ML350 Gen10

<ゴトリラボスのHPE ProLiant MLサーバーシリーズ導入事例>

課題:

リネンサプライ/ユニフォーム業界に特化した多彩なソリューションを展開するオランダ企業ゴトリラボス。ICTの発達やデジタライゼーションの進展に伴い、IT技術を導入し生産・流通にまつわるコストを削減し、生産性を高めようとしていた。

成果:

HPE ProLiant MLサーバーシリーズを稼働させ工場管理ソフトを導入。実働状況をリアルタイムで「見える化」した結果以下の成果が出た。

・ランドリー工場のスマート化を実現し業務効率を向上させた

・従業員の働き方の改善ができた

・工場全体のパフォーマンスを最適化できた

▼参考

https://www.hpe.com/jp/ja/customer-case-studies/servers-proliant-gotlilabs.html

まとめ

物理サーバーには、筐体の形状ごとに以下の種類があります。

  • ブレードサーバー
  • ラックマウントサーバー
  • タワー型サーバー

各サーバーにはメリットとデメリットがあるため、導入予定のシステムに応じて適したサーバーが異なることもポイントです。ここで解説した内容を、自社システムに最適なサーバーを選ぶ際の参考にしてください。なお、ご紹介した各メーカーのサーバーには、 TD シネックスでお取り扱いしております。下記のお問い合わせフォームより、お気軽にご相談ください。

▼ TD シネックスお問い合わせフォーム

https://www.synnex.co.jp/inquiry

※本記事は2021年11月時点に執筆された記事です。ご紹介した製品に関する最新情報については各メーカーのホームページをご確認ください。

▼参考

https://www.vmware.com/jp/products/hyper-converged-infrastructure.html

[著者プロフィール]

中村陽平

8年間インフラエンジニアとして、システム開発から運用まで幅広く経験し、フリーランスとして独立する。IT技術に関する記事や転職、フリーランスに関する記事も多数執筆中。現在は官公庁系システムのネットワークの設計~構築・運用まで携わっている。得意分野はネットワークの設計、構築(Cisco機器)。

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