Azure Stack HCI とは?概要やメリット・デメリットを解説
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Azure Stack HCI とは?
「Azure Stack HCI」というサービスの名前を聞いたことはありますでしょうか?
「Azure」というと、Microsoftが提供しているクラウドービスの名称ですね。
「HCI」とは「Hyper-Converged Infrastructure(ハイパーコンバージドインフラストラクチャ)」の略称であり、ネットワーク機能やストレージ機能といった通常複数台のx86サーバに分かれる基盤機能を仮想化技術によって1台のサーバに集約したサーバー仮想化基盤のことを言います。
Azureというクラウドサービスとオンプレミスで使うような仮想化技術を組み合わせたハイブリッド環境インフラになります。
ちなみに、Microsoftのページ(Azure Stack HCI ソリューションの概要 – Azure Stack HCI | Microsoft Learn)には以下のように説明されています。
Azure Stack HCI(以下ASHと省略させていただきます) は、仮想化された Windows および Linux のワークロードとそのストレージを、オンプレミス インフラストラクチャを Azure クラウド サービスと組み合わせたハイブリッド環境でホストするハイパーコンバージド インフラストラクチャ (HCI) クラスター ソリューションです。
簡単にまとめると、
Windows環境などで提供されていた、Hyper-Vの様な仮想化技術やフェイルオーバクラスタ・記憶域スペース・SDNなどのテクノロジーを認証済みハードウェアでオンプレミスの環境で動作させているにも関わらず、Windows Admin Centerを利用しての管理を行い、Azureハイブリッドサービスとして、動作させる環境になります。
Azure Stack HCI のメリット・デメリット
ASHのメリットは、以下のようなものがあります。
- データセンターの最新化:ハイブリッドやハイパーコンバージドソリューションを使って、仮想ホストを最新化できます。
- オンプレミスでクラウドサービスを利用可能:Azureに接続して、Azure ArcやAzure Monitorなどのサービスを利用できます。
- 動的プロセッサの互換モードが使える:クラスター内に世代の違うCPUを持ったサーバが含まれていても、最新のプロセッサ機能セットを使えます。
- ホストネットワークの自動化:Network ATCを使用することで、単純化されたホストネットワークを自動化できます。
- 機能強化のスピードが速い:Azureサービスとして提供されるため、常に最新の機能とセキュリティにアクセスできます。
- ユーザーデータの保護が簡素化:一元化されたストレージとセキュリティの強化により、データリークのリスクが最小限に抑えられます。
- ノード数の制限:1Nodeから構成可能。
- Azureを通じて無料でESUを取得できます。Windows2012ServerのEOLを迎えておりますが、Windows Server2012を使い続けるには、拡張セキュリティ更新プログラムが必要です。そちらを無料で取得できます
参考:Azure Stack HCI での拡張セキュリティ更新プログラム (ESU) – Azure Stack HCI | Microsoft Learn
メリットとしては他のHCIソリューションと同様のメリットが多いかと思いますが、やはりASHの最大の特徴としては、オンプレミスサーバにも関わらずAzureのサービスが利用可能ということになると思います。
クラウドサービスでAzureを利用している場合、監視・管理をオンプレミスとクラウドサービスとで一元化することが可能です。
また、ノード数も他のHCIソリューションが冗長性のため、3Node以上からという制限があるものもありますが、ASHは1台からクラスタ作成が可能です(冗長性の問題はありますが・・・)。
とは言ってもメリットだけではありません。ちょっと影響があるかなと思われるAzure Stack HCIのデメリットは、以下のように考えられます。
- 価格:Azure Stack HCIのホストOSコストや、Azureに接続するためのライセンスコストがかかります。
- GUIがない:Azure Stack HCIではデスクトップエクスペリエンスがなく、Server Coreのみが提供されています。そのため、操作は基本的にPowershellを使う必要があります。GUIを使いたい場合は、別途Windows Admin Centerなどを使う必要があります。
- 情報が少ない:Azure Stack HCIは比較的新しいサービスであるため、情報やベストプラクティスがまだ十分に整備されていない場合があります。
- 構成の柔軟性が低い:Azure Stack HCIはある程度固まった構成で提供されるため、極端なスペックの仮想マシンが必要なときや、リソースを少しだけ増設したいときなどに適用が困難になる場合があります。
- クライアント アクセス ライセンス (CAL) がない:Azure Stack HCIには、クライアントが直接接続するためのライセンスがありません。そのため、ファイルサーバーやプリントサーバーなどの役割を持たせることはできません
やはり、費用面と操作性がデメリットと感じる人は多いかと思いますが、ではどのように改善しうるでしょうか?
操作性に関しては、Windows Admin Centerを利用することが可能です。メリットのところで書きましたが、Azureなど他のサービスと同様の操作性は実現できます。
費用面ですが、ホストOS費用として、月額物理コア課金となります。2023年9月現在、東日本リージョンで1コアあたりの価格が1,449円となります。そのため、8Core16 Coreとサーバのコア数が増えると、その分月額のホスト費用が増えていきます。この辺りはオンプレミスのように買取のサーバライセンスから見ると高く見えるかもしれないですが、Azureハイブリット特典でWindows Server DataCenterをSA付きで保有している場合はハイブリッド特典で無料で使えます。ゲストOSのWindows Server サブスクリプションも同様です。
実際に使ってみた
実際にWindows Admin CenterからAzure Stack HCIを確認してみます。
Windows Admin Centerについては、PCおよびサーバにインストールして利用されている方が大半だと思いますが、Azure Stack HCIの管理には、Azure Portal上から利用可能です(2023年9月現在プレビュー版)。
実際にAzure Portalから接続すると、以下の画面になります。
ディスク使用量やCPU利用率などが表示されています。
ではこちら画面から仮想マシンを1台作成してみましょう。
仮想マシンのメニューから「追加」→「新規」と進みます。
新規仮想マシンの設定画面が出てくるので、「名前」「仮想プロセッサ数」「メモリ」「仮想スイッチ」「記憶域」「OSのインストール方法」などを選択および設定し、作成をクリックします。
しばらくすると仮想マシンが作成されます。
仮想マシンへの接続設定などを行うと、Windows Admin Center上からリモート接続が可能です。
このように簡単に仮想サーバを作成することが可能になります。
まとめ
上記のとおりWindows Admin Centerを利用してAzure Portalより設定管理操作が可能になっているので、Azureをすでにご利用の方も、Azureは未使用でHyper-Vで仮想環境をご利用の方も、今までの環境と同じような操作方法で、プライベートクラウド環境・ハイブリッドクラウド環境を構築することが可能になっています。
もちろん、これからサーバの仮想化を進めたい方も使い慣れたWindowsサーバの操作感で利用可能となります。
Microsoft製品が中心のサーバ環境や、Hyper-V環境を拡張したい方、現状のオンプレミス中心からAzureなどのクラウドに転換したい方などに最適なソリューションとなっております。
TD SYNNEXでは、Hewlett Packard Enterprise / DELL Technologies / Lenovo の各サーバメーカのAzure Stack HCI検証済みノードの導入支援や、導入前に本社にあるPoC環境での検証なども可能になっております。
その際は、サーバSEだけでなくクラウドSEもTD SYNNEXには在籍しておりますので、検証のご協力が可能です。
また、導入後に関しては、サーバ販売だけでなく、Azureについても合わせてサポート体制がございますので、ご興味を持たれた方は、弊社までお気軽にご連絡ください。
TD SYNNEXのAzure Stack HCIソリューションの詳細についてはこちら
https://www.synnex.co.jp/solution/azure-stack-hci
[著者プロフィール]
TD SYNNEX 株式会社 | 小林 充幸
アドバンスドソリューション部門 ソリューションビジネス開発本部 プリセールス&エンジニアリング部 部長代行
2001年10月より丸紅インフォテック(当時)にて、ITインフラ業務を担当。サーバー・ネットワークなどの管理運用だけでなく、ファシリティ環境整備や働き方改革などの業務に従事している。2013年にOffice 365(当時)を米国本社に先駆けて導入し、オンプレミス環境だけでなくクラウドを利用したハイブリッド環境にて 社内環境を整備した。ファシリティの整備やクラウドサービスの導入などより、2020年の緊急事態宣下でも、Office閉鎖の中、業務を停滞させることなく、業務を継続できる環境を先んじて整備を行った。2019年12月より、情報システムを兼務しながら、プロダクトマネジメント部門に異動し、マイクロソフト製品を中心にクラウドサービスを利用した業務改善等のソリューション提案を行うべく業務を行っている。