TD シネックスを支えるキーパーソンに聞く ~Part4~ メーカーと販売パートナーをつなぎ、ビジネスの可能性を広げるコミュニティを運営

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TD SYNNEX株式会社 DX&マーケティング部門 マーケティング本部 笠倉 環

TD シネックスでは、現在メーカーや販売パートナーを会員とした「Varnex Japan」と「Cloud Community」という、2つのコミュニティを運営しています。

コミュニティを通してメーカーと販売パートナーが、セミナーやキャンペーンなど、さまざまな取り組みを行うことで、お互いに協力してビジネスの可能性を広げていこうというものです。

そこで今回は、マーケティング本部の笠倉 環氏に、TD シネックスが運営するコミュニティの内容と特徴、運営の目的などについて伺いました。

「メーカー」「販売パートナー」「TD SYNNEX」がwin-winの関係になることがミッション

――笠倉さんのご担当領域と業務内容についてお教えください。

マーケティング本部で、コミュニティマーケティングとブランディングマーケティングを担当しています。

コミュニティマーケティングについては、弊社が運営している「Varnex Japan」と「Cloud Community」という、2つのコミュニティを企画運営しています。

――笠倉さんのこれまでのご経歴についてお教えください。

前職では、企業の広報戦略などを行う代理店で働いていました。コミュニティマーケティングの仕事にも携わる機会があり、そのときにとても楽しかったので、コミュニティマーケティングに携われる企業を探してTD シネックスに転職しました。

前職は代理店だったため、企業のコミュニティを作って実施するところまではできても、その後の運営までは携わることができませんでした。でもTD シネックスでは、コミュニティの運営まで含めて最初から最後まで見届けられるので、その点の充実感が大きく違いますね。

――笠倉さんのミッションについて、お聞かせください。

コミュニティには「メーカー」と「販売パートナー」「TD シネックス」の三者が関わっています。どれかひとつだけがメリットを得るのではなく、弊社も含めた三者がwin-winの関係になって売上を上げていくことが、コミュニティを運営する私のミッションです。

コミュニケーションの場が、新たな提案やビジネスを創出する

――「Varnex Japan」とは具体的にどのようなコミュニティなのでしょうか?

メーカーと販売パートナーとをつなぐコミュニティで、現在メーカー15社、販売パートナー43社が加入しています。

ローカルキングと呼ばれる、全国の各地域で力を持っている販売パートナーがコミュニティに入会しており、それに対してメーカーが効率的にマーケティング活動をできるようになっています。

たとえばメーカーの製品に関する勉強会を開催したり、製品を販売するためのコミュニティ限定キャンペーンを実施したりしています。勉強会については、企業紹介からメーカーの特定製品まで、販売パートナーのメリットを中心に考えて企画・運営をするといった形でやっています。

ただ、それだけではwin-winの関係になっていないので、メーカーと販売パートナーがコミュニケーションをとって、いい関係性を作っていけるような機会も設けています。

コミュニティ内に会員同士がオンライン上で交流できるプラットフォームがあり、単に売上を伸ばしたり製品をPRしたりするだけではなく、お互いがつながることで新たなビジネスに発展するような場として利用していただいています。

一例を挙げると、「今後このような製品やパッケージがあるといい」といった意見が、販売パートナーから出ることがあります。

このようなコミュニティの場をご利用いただくメリットとして、首都圏以外の販売パートナーには自社の声を届けられる、メーカーにはユーザーが求める製品やパッケージを、全国のエリアごとに知ることができる等があります。

逆にメーカーの方から、「テストマーケティング的に、こんなパッケージを販売してみたい」という話が、持ち上がることもあります。メーカーと販売パートナーのどちらか一方だけが提案するのではなく、お互いのコミュニケーションによって新たな提案が生み出されていくのが、コミュニティの特徴です。

また、販売パートナーの中には人材育成に時間をかけられないところも多く、それを解決するための人材育成プログラムの提供も、コミュニティ内で行っています。たとえば若手社員のためのロジカルシンキングのワークショップを開催し、それにプラスしてメーカーの製品情報も伝えるといったやり方です。

――米国本社のコミュニティとの違いがあれば、お教えください

米国本社では、すでにさまざまなコミュニティを立ち上げていて、コミュニティのプログラムも数多く用意されています。

国民性もあって、コミュニティに入っている会員同士が積極的にコミュニケーションをとり合っており、マネージャーを通さずにイベントを立ち上げるといったこともあるようです。日本でもできれば、米国のように会員同士で自走するような仕組みを、今後は作っていきたいと思っています。

また、米国の場合はエグゼクティブコミュニティで社長同士がつながると、話が進むことが多いのですが、日本は実際に販売するのが現場の人間なので、トップが決めても現場の判断が優先されることも多いですね。

そのため、日本の「Varnex Japan」に関しては、営業の役員や部長レベルの方々に向けてイベントを行うなど、米国とは少し違うアプローチをしています。

――新しく立ち上げた「Cloud Community」とは、どのようなコミュニティですか?

「Varnex Japan」がハードウェア関連の販売パートナーを中心としたコミュニティなのに対して、「Cloud Community」はクラウドやSaaS系の製品を扱う販売パートナーやSIerをメインとしたコミュニティになっています。

対象もエグゼクティブではなく、現場の社員に向けてクラウド関連の製品情報を提供したり、メーカーと販売パートナーの協業を増やしていくための取り組みを行ったりしています。

今後はエンドユーザーへの支援も考えており、エンドユーザーにコミュニティに入会してもらい、ITリテラシーを高める活動もしていく予定です。「このコミュニティに入れば、世の中に溢れているマルチクラウドの情報が入手できる」ということが、コミュニティを活用する大きなメリットになるかと思います。

コミュニティを通じて、協業のビジネスを実現できる

――コミュニティを活用することによって、メーカーや販売パートナーにどのようなメリットがありますか?

このコミュニティを通じて、メーカーと販売パートナーが協業のビジネスを実現できるというのが、大きなメリットになるかと思います。

たとえば、メーカーと販売パートナーが共同で、勉強会を開催することもできます。販売パートナーがウェビナーなどでエンドユーザー向けの勉強会を主催し、そこに日頃お付き合いのあるメーカーの担当者に登場してもらって、話をしてもらうといった形もできるでしょう。

そのときに特別パッケージを用意して、キャンペーンを行うこともできます。まずはお試しで1回やってみて、うまくいったら他の地域でも横展開するといった、販路拡大の可能性も考えられるかもしれません。

メーカー側にとっては、Varnex Japanでは全国43社のローカルキングと呼ばれる販売パートナーに向けて、コミュニティを通してスピーディにマーケティング活動が展開できるのは、大きなメリットです。

やはり日本のビジネスの特徴として、メーカーが地域のエンドユーザーに提案する際に、地元の販売パートナーと組んだ方が提案しやすく、通りやすいというところもありますね。このコミュニティを通じて、メーカーと販売パートナーが共にメリットを享受いただきながら、タッグを組むことでエンドユーザーの獲得につなげていただくようにするのが我々の役割です。

さらに、先ほどもお伝えしたようにテストマーケティングの場として使えることも、メーカーにとってはひとつのチャンスになります。今後地方展開をしていく上で、どういう戦略でやっていったらいいか、どの製品を売っていけばいいのかといったことを、地域ごとに狙いを定めてやっていけるのはメリットではないでしょうか。

メーカーと首都圏以外の販売パートナーが直接会える機会という意味で、コミュニティをどんどん活用していただけたら嬉しいです。日本に参入したばかりの外資系メーカーの情報なども発信しますので、詳しい情報を手に入れることもできますし、懇親会などを通じて直接コミュニケーションも取れます。

また、販売パートナー同士が交流することも、メリットがあります。たとえば北海道と沖縄といった離れた地域のローカルキング同士も、コミュニティを通じて接点をもつことができます。それによって、さまざまな販売パートナーの成功事例を知ることができますし、今後のビジネスの参考にもなります。

――笠倉さんが仕事をする上で一番大切にされていることは何ですか?

コミュニティのミッションに「売上を上げる」という目標はあるものの、やはりコミュニティなので、人間関係の構築など、数値では測れない部分も大切にしていきたいと思っています。

コミュニティに入ってくださっているメーカーや販売パートナーの皆様に、気持ちよく活動していただけるよう、このコミュニティが潤滑剤としての役割を果たせたら嬉しいです。

また、販売パートナーは基本的に地域が被らないようにしておりますが、今後会員の増加に伴って、必要な対応が変わってくると思います。そのようなときには、注力するものを企業ごとに分けるなど、きめ細かく配慮させていただければと考えています。

――笠倉さんの今後のビジョンについてお聞かせください。

「Varnex Japan」については、やはり地域のローカルキングの方たちとのリレーションを、これからも大切にしていきたいです。

おかげ様で「Varnex Japan」は、2022年12月で10周年を迎えることになりました。この10年間ビジネスを続けてこられたのは、ひとえにメーカー様や販売パートナー様のおかげです。その気持ちを大切にしつつ、弊社もグローバルな市場で強くなってきていますので、海外の製品情報やソリューションをいち早く全国のお客様にお届けできるよう、がんばっていきます。

「Cloud Community」は、弊社が今まさにクラウドやセキュリティに注力しているところですので、クラウドに関するソリューションも独自で有しております。

「Cloud Community」を通して、そうした情報をいち早く全国の皆様に、お届けしたいと思っています。そしてできることなら、それらの情報が日本のDX推進の一助になれば、本当に嬉しいです。

コミュニティの会員であるメーカー様や販売パートナー様はもちろん、エンドユーザーの方々も含めて、日本のDXを一緒に推進していけるよう、頑張っていきたいと思います。

▼Varnex Japan
https://www.synnex.co.jp/platform/varnex/

▼Cloud Community
https://www.synnex.co.jp/platform/varnex-cloud/

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