リスキリングにRPAが注目されている理由と導入のメリット、おすすめのサービスをご紹介
近年、企業が顧客ニーズや市場環境の変化に対応するためには、新たな技術やサービスの導入が欠かせません。また、ビジネスパーソンにおいても、新しい技術等に対応したスキルや知識を身につけることが求められます。そのような背景から注目を集めているのが、「リスキリング(再教育)」です。
リスキリングで学習する具体的なスキルの中でも「RPA(Robotic Process Automation)」は、比較的学習ハードルが低いことや人的ミスの低減や作業時間の削減といった効果への期待から注目されています。この記事では、リスキリングとRPAの関係性に注目し、リスキリングにRPA導入のメリット、おすすめのサービスをご紹介します。
リスキリングとは
リスキリングとは英語で「Reskilling」や、「Re-skilling」と表記される言葉で、職業上必要とされるスキルの変化に適用するために、必要なスキルを獲得する(させる)事です。これにより、ビジネスが直面する新たなリスクや変化に対応できるようにするための取り組みを指します。
近年、急速なテクノロジーの進化やDX(デジタルトランスフォーメーション)の浸透により、さまざまな業界で業務プロセスの自動化や効率化が求められるようになってきました。その中で、従業員のスキルアップや能力開発が重要視され、リスキリングの重要性が高まっています。
RPAとは
RPAとは、Robotic Process Automationの略です。人が行っていた定型作業や、ある一定のルールに基づき作業を行う単純なタスクを自動的に処理するための技術で、具体的には、画面操作をしたり、データの入力・出力を行ったりすることができます。
RPAを導入することで、作業時間の短縮、人的ミスの削減、業務の効率化などのメリットが得られます。また、定型作業を自動化すれば社員の負担が軽減され、より高度な業務に注力できるようになるでしょう。その結果、企業のDXや働き方改革の実現にも貢献することができます。
RPAについて、詳しくは以下の記事でご紹介をしています。
(参考記事)
RPAとは?できることや種類、導入手順や活用事例をわかりやすく解説
リスキリングにRPAが注目される理由
RPAがリスキリングに注目される理由には、以下のような点が挙げられます。
DX化の促進、働き方改革の実現との相性が良い
「DX化」は、ビジネスプロセスをデジタル技術によって再構築することを指します。つまり、ITを利用することによるビジネスプロセスの最適化や、効率の向上が求められます。RPAはビジネスプロセスの自動化を実現するテクノロジーの1つであり、DX化に欠かせない存在です。
また、リスキリングによって従業員が最新のデジタルスキルを身に付け、DXに貢献することができます。そして、リスキリングの過程でRPAの導入が行われることにより、従業員がより効率的かつ効果的に業務を行うことが可能です。つまり、リスキリングとRPAの導入が相互に補完し合い、DX化を促進することができるのです。
また、業務の効率化が進むことで働き方改革の実現にも繋がります。
RPAの構築とリスキリングの相性が良い
リスキリングにおいてRPAを活用すれば、従業員が本格的なプログラミング学習に取り組まなくても、比較的簡単に自動化の効果を体感できます。RPAはローコードまたはノーコードで構築できるため、プログラミングの専門知識がない人でも、流れ図を作成するような感覚で業務自動化が可能です。そのため、従業員がRPAを習得するためのハードルが低く、自己学習をしやくすなります。
(参考)
ローコード・ノーコードとは?メリット、デメリットやおすすめのツールをご紹介
また、RPAは人間が行う単純・繰り返しの業務に特に適しているため、自動化に適した業務を選定することで、より高い効果を得ることが可能です。このように、RPAを活用することで従業員は効果的に自身のスキルアップを目指し、より高度な業務に取り組めるようになります。
新規の人材の確保が難しく、既存社員のIT育成に注目が集まっている
現在、IT技術者の不足が社会問題となっており、特にプログラミングスキルを持った人材の確保は非常に困難です。一方、多くの企業では業務の効率化や自動化を求め、RPAの導入を検討しています。このような背景から、RPAを導入することで、プログラミングスキルに長けている、業務の効率化や自動化に特化した人材を個別に採用する必要性が少なくなり、既存社員のITスキルの向上に注力することができます。
また、既存社員のIT育成には、教育・研修コストがかかるという問題があります。しかし、RPAツールはローコードまたはノーコードであるため、従来のプログラミング学習に比べてハードルが低く、社員のスキルアップに貢献できるでしょう。そのため、RPAを用いたリスキリングは、教育・研修コストの削減にもつながります。
RPAを用いたリスキリングのメリット
RPAを用いたリスキリングのメリットには、以下のようなものがあります。
RPAの習得の段階でプログラムを構築する論理的思考が身に付く
ノーコードによる構築を除き、RPAを習得する際には、事前にプログラムの構築が必要です。このプログラムを構築する段階で、論理的思考が求められます。例えば、どのような動作をRPAにさせるのか、どのような条件でRPAを動かすのか、何を元に処理を行うのかといったことを考えなくてはなりません。そのため、RPAの習得段階でこのような論理的思考が身に付くことになります。
RPAを構築する過程で業務を考えて遂行する力、見直す力が身に付く
RPAを構築する過程で、業務を考えて遂行する力が身に付きます。例えば、業務プロセスを自動化するためには、どのような手順で人の手で業務を行っているかを把握し、その手順を自動化するためのプログラムを作成する必要があります。このような業務を考える力を身に付けることが可能です。また、RPAを構築する過程で業務プロセスを見直せるため、改善点を見つけることができるようになります。
プログラムの構築過程の体感学習と成功体験を蓄積できる
RPAを用いた作業自動化は、専門知識がなくても導入できるという点が大きなメリットです。そのため、従来はプログラミングに関連する業務を担当していなかった社員でも、リスキリングによってRPAのプログラム構築過程を体感的に学習できます。これにより、プログラミング初心者でも成功体験を蓄積でき、自信をつけられるでしょう。
プログラミング初心者がRPAのプログラムを作成することで、エラーを起こしたり、思った通りに動かなかったりすることがあります。しかし、そのたびに改善することで、論理的思考力や問題解決力を身につけることが可能です。
作業時間の軽減につながり、業務の効率化やリソースの見直しができる
リスキリングによるRPAの導入には、作業時間の軽減や業務の効率化、リソースの見直しなど多くのメリットがあります。RPAによって日常的に行われている繰り返し作業が自動化されることで、従業員はより生産的な業務に時間を費やすことができるようになります。また、自動化によって作業時間が大幅に短縮されるため、作業量の増加にも柔軟に対応することが可能です。このように、RPAによって作業時間の軽減が実現されることで、業務の効率化やリソースを見直せるようになります。
リスキリングにおすすめのRPAのサービス紹介
RPAツールには「UiPath」や「Automation Anywhere」、「Blue Prism」など、さまざまなツールがあります。その他、Microsoft Power Automate(以前はMicrosoft Flowとして知られていました)はマイクロソフトが提供するRPAツールで、業務プロセスの自動化を目的としたものです。
Microsoft Power Automateは、デジタルフォーム、ワークフロー、アプリケーション、およびデータの統合に使用され、標準的な機能から、より複雑なワークフローを構築するための高度な機能まで幅広い機能が備わっています。
Microsoft Power Automateの特徴
Microsoft Power Automateは、コーディングが必要ありません。直感的なGUIでの操作が可能なため、プログラミング経験が少ない人でも簡単に学習できます。また、Microsoft 365の一部であるため、Office 製品との親和性が高く、オフィスでの業務に適したツールと言えるでしょう。また、Microsoft Power AutomateはAPI、Webhook、およびRPAの統合機能を備えており、一般的なアプリケーションの多くと互換性があります。
他のRPAツール、サービスとの比較
Microsoft Power Automateは多数のRPAツールやサービスの中でも、低コストでの利用が可能です。また、Microsoft 365とのシームレスな連携ができる点なども評価されています。その一方、以下のような点には注意が必要です。
- ビジネスプロセスの自動化には適しているが、それ以外の用途には使いにくい
- プログラムの自由度が他のツールに比べて低い
それぞれのツール、サービスには長所と短所があり、業務に合わせて適切なツールを選択する必要があります。
Microsoft Power Automateがリスキリングで使用された事例
Microsoft Power Automate はさまざまな業界や部署で活用されており、リスキリングにおいても成功事例が多数あります。例えば、ある製造業の企業では、生産ライン上でのデータ取得と分析にRPAを導入し、従業員の負荷軽減や作業効率の向上を図りました。その中でも、IoTデバイスから収集したデータを自動的に取得し、分析するシステムを構築したことで、従業員はより高度な分析業務に集中できるようになりました。
また、ある公共機関では Microsoft Power Automate を用いて、異なる業務アプリケーションを統合するシステムを構築しました。このシステムの導入により、従業員は複数のアプリケーションを開いていた時代から、一つの画面で全ての情報を管理することができるようになりました。これにより、従業員の負担が軽減され、業務の効率性が向上したとされています。
以上のように、Microsoft Power Automate は多くの業界で成功事例が報告されており、リスキリングにも有効なツールとして注目されています。
Microsoft Power Automateのさらに詳しい説明や導入事例は、以下のリンク先ページにてご案内しています。
https://www.synnex.co.jp/vendor/microsoft/power-platform/
https://www.synnex.co.jp/casestudy/acn_220916/
以下ページでフォームに記入いただけば、関連資料のダウンロードが可能です。
https://www.synnex.co.jp/vendor/microsoft/power-platform/dl-form/
まとめ
リスキリングとRPAの組み合わせは、従業員の能力向上と業務の効率化に大きな効果をもたらします。RPAを用いることで、プログラムの構築過程で論理的思考を身に付けることができるため、より高度なスキルや知識を身に付けたい人にもおすすめです。また、既存社員のIT育成に注目が集まっていることから、RPAを活用することで新しい人材の確保が困難な状況でも業務を継続的に行うことができます。さらに、RPAを用いることで作業時間の短縮に繋がり、業務の効率化やリソースの見直しにもつながるでしょう。
リスキリングにおすすめのRPAのサービスとしては、Microsoft Power Automate が挙げられます。Microsoft Power Automate はノーコードでの簡単な構築が可能な点が特徴で、ビジネスプロセス自動化において高い評価を得ています。他のRPAツールやサービスと比較しても導入コストが低く、操作も簡単なため、リスキリングに最適です。また、Microsoft Power Automate をリスキリングで活用することで、社員が抱える業務のストレスを軽減し、自己成長を促進することができます。
RPAをリスキリングに活用することで、業務の効率化と既存社員の能力向上を同時に実現することが可能です。今後も、リスキリングにおいてRPAを活用し、より多くの人材にスキルアップの機会を提供することが求められています。
[筆者プロフィール]
おじかの しげ
https://twitter.com/shige_it_coach
東京近郊の中堅SIerに20年勤務する、インフラ系システムエンジニア。インフラ環境構築からOS、ミドル導入、構築、運用。最近はインフラ関係だけではなく、WEBアプリ開発など幅広く業務を経験。