災害の備えのポータブル電源の使い道は?シーンごとの使い方や必要性、選び方のポイント

モバイル機器や小型家電など、最近ではどんな場所でも関係なく電源を必要とするシーンが多くなりました。スマホ1台の充電であれば、モバイルバッテリーで充分かもしれません。しかしWeb会議や非常時では、電力供給が追いつかないという悩みを持たれる方がいるのではないでしょうか。そのときに便利なのが、「ポータブル電源」と呼ばれる本格的なバッテリーです。一般的なモバイルバッテリーと何が違うのか、ポータブル電源を利用するメリットや選び方についてご紹介します。

ポータブル電源とは

持ち運べる電源として身近なモバイルバッテリー。ポータブル電源と大きく違う点は、バッテリーの容量と電流です。持ち運べる電源として身近なモバイルバッテリーならスマホやタブレット、ワイヤレスイヤフォンといった省電力のモバイル機器が対象となります。一方、ポータブル電源はモバイルバッテリーと比べて、大容量かつ高出力の電力供給を実現したもの。モバイル機器にとどまらず、一般的なコンセントを利用する電化製品も利用できるのが最大のメリットです。利用回数や環境にもよりますが、リチウムイオン電池内蔵のポータブル電源なら約5年から10年とも言われています。

出力が高いという点なら発電機もありますが、燃料が必要ですし、騒音や排気といった問題をクリアしなくてはいけません。室内やオフィスでの利用となると、かなりハードルが高いでしょう。

ポータブル電源の使い道とは?どんなシーンで必要?

災害や防災

地震や台風などの災害時に備えて、食料だけでなく電力も備蓄したいところです。あらかじめポータブル電源を用意しておけば、スマホの充電だけでなくテレビやラジオからの情報収集にも役立ちます。夜間の照明や季節に応じて暖房や扇風機への電力供給も可能で、持ち運べば避難先でも大活躍でしょう。不安な状況下でも、電源を確保することで日常生活に近付けられます。

停電時

停電は災害時に限らず、しばしば直面する問題です。例えばビルやマンションの電気設備や、近隣での工事によって停電することなどが想定されます。過去には電力不足によって、供給が一時的にストップする大規模な計画停電もありました。電力に余力のある時間帯、あるいは安定供給されるタイミングでポータブル電源を充電しておき、停電時に利用すれば効率的に電力を利用できます。

キャンプやアウトドア

週末だけ気軽にキャンプやアウトドアを楽しみたいものの、火を起こしたり調理したりする作業はハードルが高い。そのような場合でも、ポータブル電源があれば照明やミニサイズの冷蔵庫など、場所を選ばずに利用できます。設備が充実している快適なキャンプ(グランピング)のように、ポータブル電源があれば快適なアウトドアを楽しめるでしょう。

車中泊

長距離移動など車中泊をする際は、シガーソケットから電源を取る方法が一般的です。しかし車種によって電圧が異なるため、利用する際は家庭用向けに電圧を変換するインバーターが必要になります。電子機器も家庭用電源での供給が前提ですので、電圧の変換を怠ると両方で故障のリスクが発生するでしょう。また、古い形式の車種ではエンジンを切ってもシガーソケットに電気が流れ続けることがあり、バッテリーが上がってしまう恐れも。しかし車内にポータブル電源を積んでおけば、複数の機器を充電するなど同時利用も可能です。

自宅の庭

高圧洗浄機や芝刈り機など、自宅の庭で作業する際も電源を必要とするシーンが少なくありません。壁のコンセントを利用しようとしても遠くて延長コードが届かなかったり、コードが煩わしくて作業しづらかったりする問題も出るでしょう。このような場面、ポータブル電源があれば延長コードも不要ですし、小回りがきく臨機応変な作業を可能にします。もちろん、庭先でバーベキューを楽しみたいといったニーズにも対応できるので、家庭内でもポータブル電源は重宝する存在です。

ポータブル電源の選び方と使い方

バッテリー容量

ポータブル電源のバッテリー容量を比較すると、主に「mAh」「Wh」「V」という単位で表記されています。バッテリー容量の目安として「Wh(ワットアワー)」を見れば、どれくらいの電力を蓄えるかを読み取れるでしょう。例えばバッテリー容量で500Whと記載されている場合、消費電力が500W(ワット)の電子機器で約1時間、100Wなら約5時間利用できる計算となります。

スマホの充電回数なら、1時間で流せる電流「mAh(ミリアンペアアワー)」をスマホのバッテリー容量(同じくmAh)で割ると目安を算出可能です。ただし必要な電圧が異なる場合は、充電可能な回数が目減りするので注意しましょう。

AC電源出力数

交流電源を指す「AC電源」は、主にコンセントから供給されている電源と同じです。AC電源の出力数はコンセントの数と考えてよいでしょう。出力数が多ければコンセントを同時に利用できる数が多く、分配器を用意する手間も省けます。ただし、最大ワット数の上限といった制約はありますので、一度に利用できる電力量には注意が必要です。

DC、USBなどAC以外の電源規格の有無

モバイル機器を充電したいとき、USBポートがあらかじめ標準搭載されているかは気になるところでしょう。AC電源しか用意されていなければ、USB変換が必要なので手間がかかります。USBポートには一般的なコネクタ(A端子)のほかに、microUSBやUSB-Cなど規格が多く存在するので、事前にチェックしてください。

また、多くのポータブル電源にはDC(12V)の出力ポートが備わっています。あまり聞き慣れない言葉かもしれませんが、元々のバッテリーにはDC電源が採用されているのです。一般のコンセントがAC電源なのは、電力会社にとって電気を効率よく送信できることが理由とされています。そのため、家電製品にはあらかじめ、交流のACから直流のDCに変換する機能が備わっているのです。DC電源には馴染みがないかもしれませんが、LED照明など変換することなく効率的に利用できるケースもあります。

充電時間

いざポータブル電源を使おうと思ったら、バッテリーの充電切れで使えない。そんな初歩的な失敗を避けるため、常に充電は完了しておきたいものです。充電時間は機種やバッテリー容量によって異なりますが、おおむね5時間から8時間ほどと言われています。外出時や就寝時など稼働しない時間を上手に利用して、いざという際にすぐ稼働できるよう準備しておきましょう。

持ち運びが可能か

スペックを追及すると大容量バッテリーを求めがちですが、比例して重量が増えるというデメリットもあります。5kgから10kg程度あるポータブル電源にとって、ある程度の重さは宿命といえるかもしれません。重量は事前にチェックしておきたいポイントですが、機種によってはコンパクトで取っ手が付いているモデルもあります。持ち運びやすさも、考慮して選びたいポイントの一つでしょう。

ポータブル電源を長く使う上手な使い方のポイントについて

ソーラーパネルを使う

屋外での利用ならソーラーパネルを接続してポータブル電源を充電しつつ、ポータブル電源から各機器に給電すれば充電時間も節約できます。ただし、充電しながら給電する使い方(パススルー方式)は、バッテリーに負荷がかかり寿命を短くする恐れがあるため、充電時間と機器への給電するタイミングは分けることをおすすめします。

高温多湿を避ける

夏はキャンプなど屋外での利用シーンは多くなりがちですが、なるべく直射日光を避けたいところです。内蔵のリチウムイオン電池に熱を持った状態が続くと、バッテリー劣化の原因につながります。できるだけ放熱しやすく風通しのよい、できれば25℃前後で人間の体感と同じ快適な環境で、利用または保管するよう心がけましょう。

定期的に適度な充電をして保管する

長時間の保管ならフル充電しておき、いつでも使えるようにしておきたいと考えるかもしれません。しかし、バッテリー残量を100%の状態で保管すると、劣化や性能低下を招いてしまいます。反対に0%で長時間放置すると、充電できなくなるといった事象があるので注意が必要です。人間に例えるなら、空腹でも満腹でなく腹八分目ぐらいがちょうどいいといったところ。充電しても自然放電されるので、残量が恒久的に保存されているわけではありません。月に一度は動作確認して、定期的に充電するという使い方がよいでしょう。

ポータブル電源はBCP対策として法人にも有効

企業のBCP対策にとっても、ポータブル電源は有効です。BCPとは「Business Continuity Plan(事業継続計画)」の頭文字から取った言葉で、企業が災害など危機的状況下に置かれても業務が継続できるようにする計画を指します。長時間の停電によってパソコンが使えず業務に支障が出たり、空調が停止して職場の環境が悪化したりすることが懸念されます。そこで、ポータブル電源があれば最低限の電力を確保でき、影響を軽減して事業を継続できるのです。

コンセントの少ない場所での電源供給でオフィススペースを活用

オフィスのフロアレイアウトによっては電源の確保が難しかったり、コンセントの増設工事が必要になったりすることがあるでしょう。そのような場面でも、ポータブル電源があれば臨機応変な対応が可能です。電源確保という名目に縛られることなく、余ったオフィススペースを有効活用できます。BCP対策に限らず普段から利用することで、いざ非常時にバッテリー切れで使えないという心配から開放されるでしょう。

停電時にサーバーなどへ電源供給

社内LANを利用したオフィスのパソコンなら、ファイルサーバーなどの共有機器を活用している構成がほとんどでしょう。停電時にノートパソコンがバッテリー稼働したとしても、肝心のファイルサーバーがダウンしてしまっては業務になりません。もしポータブル電源から起動できれば、一時的にファイルをローカルに移動して作業できるようになります。企業のBCP対策としては、もっとも想定されるケースといえるでしょう。

電源のない外出先でも安定した電源供給が可能

臨時のオフィス設置や現場での作業が発生した場合、持ち運びが可能なポータブル電源は必須アイテムです。照明やモニター、パソコンなど、電源が必要となる電子機器は多岐にわたります。ポータブル電源から安定した電力供給を可能にし、電源のない外出先でも簡単に拠点を設けられるでしょう。

TD シネックスおすすめのポータブル電源

ポータブル電源は日々の可用性や持ち運びの携帯性など、総合的にバランスのとれた機種を選びたいところ。ZENDURE(ゼンデュア)のポータブル電源「SuperBase500」なら、家庭用としてはもちろんビジネスの現場でも活躍します。

バッテリー容量は140,000mAhあり、標準で9つのポートを搭載。複数端末の同時充電はもちろん、プロジェクターやタブレットなど会議に必要な機器への電源供給も1台で完結します。本体はコンパクトで重量はわずか5kgで、片手でも簡単に持ち運ぶことが可能です。

安全面においても、過充電・過放電を防止する機能(バッテリーマネジメントシステム)を装備。さらにオプションのソーラーパネルを利用すれば、屋外でも充電できアクティブに活用できます。災害時にも安定した電力供給を確保でき、BCP対策としてオフィスに常備しておきたいポータブル電源です。

商品詳細はこちら:https://www.ecnex.jp/connect/articles/2448

まとめ

あらゆるビジネスシーンにおいて、安定した電力供給は欠かせません。どんなときにもポータブル電源が1台あれば、停電時の対応だけでなくコンセントが少ない会議室などの悩みからも開放されます。ポータブル電源を選ぶ際はバッテリー容量だけでなく、重量やポートの数など可用性も考慮して選定することが重要。特に法人利用ではBCPの観点からも有効なので、バッテリー寿命などを考えて正しい利用方法を意識するよう心がけましょう。

[筆者プロフィール]
たむらさとし
テクニカルライター。これまでに業務システムのバックエンド開発からITILに基づく運用設計といった業務に従事。一方でWebサービスやシステムに関する解説記事、マニュアル制作などテクニカルライターとしても活動中。システム開発とコンテンツ制作の「2つの目線」から、ユーザーの皆さんが知りたい情報を提供します。

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