ChatGPT APIとは?使い方や料金、使用する際の注意点など基本事項を解説
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OpenAIは、2022年11月にAIサービスのChatGPTを発表し、対話型で人間のような回答ができるAIの出現に、世界が驚きました。それ以降も新たなAIサービスを公開しています。2023年3月に公開されたChatGPT APIも、そのひとつです。ChatGPT APIは、プログラムにより活用できることから、AIサービスの利用範囲が画期的に拡大しました。この記事では、ChatGPT APIの使い方や料金、使用する際の注意点のほか、Azure OpenAI Serviceとの違いなどについて解説します。
ChatGPT APIとは?
ChatGPT API」は、OpenAIが提供する自然言語処理モデル「ChatGPT」を利用できるAPIです。APIとは「アプリケーション・プログラミング・インターフェース」の略です。アプリケーション・プログラムが活用できるインターフェース(接点)を指します。ChatGPT APIをプログラムに組み込むことで、テキスト生成、質問への回答、会話の応答など、さまざまな機能をアプリケーションに組み込むことができます。
ChatGPT APIの公開により、コンテンツ生成やチャットボット、カスタマーサポートなどのアプリケーションにChatGPTを組み込んで利用することが可能になり、活用の幅が広がりました。
ChatGPT とChatGPT API の違いは?
ChatGPTとChatGPT API、名前は似ていますが、どのような違いがあるのでしょうか。両者の違いについて説明します。
ChatGPT は対話型AI
ChatGPTは、AIチャットボットで、ユーザーとの対話を行うアプリケーションです。自然言語処理により、人の言葉を理解し、適切に応答することができます。
カスタマーサポートや創作活動、商品購入の支援など、さまざまな用途で活用されています。ビジネスや個人のニーズに合わせて、効率的なコミュニケーションツールとして活用されています。
ChatGPT API はインターフェース
ChatGPT APIは、ChatGPTをほかのプログラムやアプリケーションに組み込むためのインターフェースです。開発者がプログラムにこのAPIを組み込むことにより、そのプログラムが、ChatGPTを活用することができます。Chat GPT APIによって、プログラムは、文章生成、要約、添削、言語翻訳、生成、チャットボットシステムの構築など、さまざまな処理が可能になります。
ChatGPT API を利用するメリット
ChatGPT APIを自社で開発するシステムに組み込み、ChatGPTと連携することによって、次のようなメリットが期待できます。
効率的に開発できる
ChatGPT APIを利用することで、性能の高いチャットボットを自社システムと連携して使用できるため、時間を削減して開発を行うことができます。
拡張性と柔軟性が高いシステムが構築できる
ChatGPT APIは、高い拡張性と柔軟性を備えています。自社で開発したシステムだけでなく、市販のウェブアプリケーションなど、サービスに組み込むことが可能です。
これにより、既存のシステムをそのまま利用しつつ、業務フローやシステムの変更を加えることなく、AIソリューションを構築することができます。
さらにAPIを利用することで、大量のデータを処理し、高い拡張性を持つシステムを構築することができます。
ユーザーエクスペリエンスを向上できる
ユーザーエクスペリエンスとは、ユーザーがアプリケーションやサービスを利用する際に感じる満足度や快適さのことを指しますが、例えば、カスタマーサポートのチャットボットにChatGPT APIを使えば、ユーザーの問い合わせに自動で迅速に回答できるので、ユーザーの信頼感や満足度を高めることができます。
ChatGPT API を利用する際の注意点
大きなメリットを享受できるChatGPT APIですが、ChatGPT API を利用する時に注意するべき点もありますので、ここで詳しく解説します。
従量課金制である
ChatGPT APIは有料サービスのため、利用する際には費用が発生します。料金体系は、使用量に応じて料金がかかる従量制課金です。使用量が多い場合は、費用も高額
になるため、予算に制限がある場合には、予め予算内で利用できる量を確認しておき、利用時には使用量をこまめに確認しながら、注意して利用する必要があります。
価格例
モデル | 入力 | 出力 |
---|---|---|
GPT-4 | $30.00 / 100万トークン | $60.00 / 100万トークン |
GPT4-32k | $60.00 / 100万トークン | $120.00 / 100万トークン |
誤回答も考えられる
得られる回答には、誤った回答が含まれている可能性もありますので、注意が必要です。回答については、慎重に取り扱い、誤った回答を採用しないよう、人間の目で確認しながら利用した方がよいでしょう。
セキュリティに注意する
ChatGPT API を使用する際には、適切なセキュリティ対策を講じることが不可欠です。API キーの管理や通信の暗号化など、セキュリティに関しての対策が講じられた接続方法を採る必要があります。
ChatGPT API とAzure OpenAI Serviceの違い
OpenAIが提供するChatGPT APIと、Microsoftが提供するAzure OpenAI Serviceは、どちらもChatGPTを利用するためのAPIですが異なる点もあります。ここでは、ChatGPTと、Azure OpenAI Serviceの違いについて解説します。
Azure Open AI Serviceとは
Azure OpenAI Serviceは、Microsoft Azure のクラウドプラットフォーム上で提供される、OpenAI のAIサービスです。OpenAI 社が開発した高度な言語モデルやそのほかの AI モデルを、Microsoft Azure のセキュアな環境で利用できます。OpenAIのAI機能とそれを利用するために必要なクラウド環境や、ユーザーのニーズに合わせたさまざまなサービス機能を提供しています。
Azure Open AI Serviceを使うメリット
Azure OpenAI Serviceを利用するメリットは以下のとおりです。
- セキュアな環境で利用できる
Microsoft Azureの高水準のセキュリティを備えており、安全な環境でサービスを利用できます。また、インターネット接続だけでなく、閉域接続も可能で企業の機密情報や顧客情報、個人情報などの情報の漏洩を未然に防ぐことができます。
そのほかAPIキーやAzure ADを使用することで不正アクセス対策も可能です。
- 多彩な AI ツール
Azureが提供するさまざまな AI ツールを利用することができます。Azure OpenAI Serviceは、自然言語処理、画像認識、音声認識などの機能を提供しているほか、幅広いソリューションを提供しています。
- SLAが設定されている
Azure OpenAI Serviceでは、SLA(Service Level Agreement)が設定されているなど、Azureのクラウドサービスとしての安定性が保証されています。
これらのメリットにより、Azure OpenAI Serviceは、特に企業での利用時に必要となるサービスが提供されており、安全かつ効率的に AI を活用することができます。
ChatGPT API とAzure OpenAI Serviceの比較
項目 | ChatGPT API | Azure OpenAI Service |
---|---|---|
利用開始方法 | ChatGPTアカウントを登録してすぐに利用可能 | Azure サブスクリプションを無料で作成し、Azure OpenAI Serviceサービスへのアクセス権を申請する。 申請が承認されるまでに少し時間を要する |
サービス提供企業 | OpenAI | Microsoft |
料金 | 従量課金制 OpenAIの価格体系 に基づく | 従量課金制 Azureの価格体系 に基づく |
リージョン | 米国のみ | 東日本含む複数のリージョンが選択可能 |
新機能リリース | 先にリリースされる | ChatGPT APIに追従してリリースするためChatGPT APIに比べて、少し遅れる傾向にある |
セキュリティ | APIのセキュリティを確保するための構築が必要 | Azureがセキュアな環境を提供 |
学習データとしての利用 | 入力データを学習データとして利用する | 入力データを学習データとして利用しない |
SLA | なし | 99.9% の可用性 |
いくつかのポイントについて解説します。
- モデル
OpenAIが提供するモデルは、Azure OpenAI Serviceでも利用できるようになるので、モデルのラインナップについて大きな違いはありませんが、Azure OpenAI ServiceはOpenAI APIの提供に遅れて開始されるので、OpenAIの方が最新モデルをすぐに利用できます。
- セキュリティ
ChatGPT API のセキュリティは、使用されるプラットフォームやアプリケーションに依存します。一方、Azure OpenAI Serviceは、Microsoft Azure のセキュアな環境で提供されるため、高いセキュリティレベルが確保されています。セキュリティはAzure OpenAI Serviceの方が優れているといえるでしょう。
- リージョン
OpenAI API は米国のみの提供となっています。Azure OpenAI Service は東日本を始めとする7リージョンが選択可能です。
データを扱えるロケーションを日本国内に限定したいという場合は、 Azure OpenAI Service の方が適しているでしょう。
Azure OpenAI Service についてはこちら もご覧ください。
ChatGPT API の活用事例
ChatGPT APIを社内で活用している事例を紹介します。
パナソニックコネクト
パナソニックコネクトはマイクロソフトの「Azure OpenAI Service」を基にした「ConnectGPT」を開発し、2023年2月、国内全社員に提供を開始しました。現在は「ConnectGPT」を「ConnectAI」に改称して運用しており、2023年4月からはGPT-4も利用可能になっています。また、同社の取り組みはパナソニックグループ全体に広がり、2023年4月には「PX-GPT(現在はPX-AI)」をベースにしたサービスを国内グループ全社員9万人が使用可能になりました。
参考:利用回数は想定の5倍超、ChatGPT全社導入から3カ月でのパナソニック コネクトの利用実績
サイバーエージェント
サイバーエージェントは「ChatGPTオペレーション変革室」をつくり、ChatGPTを活用して広告オペレーションの作業時間を削減することを目指しています。自動回答や海外拠点とのコミュニケーションなどの社内作業を効率化します。月間の総作業時間2のうち30%の削減を目指します。
参考:ChatGPTで広告運用の実行スピードを大幅短縮する「ChatGPTオペレーション変革室」を設立
三井化学
三井化学と日本IBMは、Microsoft Azure OpenAI ServiceのGPTとIBM Watsonを組み合わせることで、三井化学の製品の新規用途探索における高精度化と高速化を実現しました。
具体的には、三井化学の固有の辞書作成数が10倍に増加し、明確な「用途」として記載されたデータでは、新しい用途を抽出する作業効率が3倍に向上し、新しい用途の発見数が2倍に増加しました。
ChatGPT API を理解し、活用方法を検討しましょう
ChatGPT APIの使い方や料金、使用する際の注意点のほか、Azure OpenAI Serviceとの違いなどについて解説しました。
ChatGPT APIの活用で業務効率化や開発費のコストダウンができ、顧客エクスペリエンスが向上し、新しいビジネスモデルの創造にもつながります。ChatGPTのAPIを理解し、自社でどのように活用できるか検討してみてはいかがでしょうか。
[筆者プロフィール]
峯 英一郎
ITコンサルタント。大手SIer(約18年勤務)を経て、ソフトウェア会社の経営に従事。お客さまの価値最大化につながる新しい受託開発のあるべき姿を追求し続けている。