この記事でわかること
- IT市場の最新トレンド:AI、サービス化、専門化がどのように成長を牽引しているか。
- 2025年の6大トレンド:サイバーセキュリティや人材不足など、IT企業が直面する具体的な潮流。
- 新指標の読み解き方:TD SYNNEXが導入した「成長指数」と「楽観指数」から見る、自社の立ち位置の確認方法。
ITエコシステムの変革が加速する中、世界最大級のITディストリビューターであるTD SYNNEXが、世界40カ国・1,400社以上のパートナー企業を対象にした「第4回 テクノロジーの方向性(Direction of Technology: DoT)レポート」を発表しました。
本記事では、レポートが示す最新のIT市場トレンドを解説するとともに、この膨大なデータを自社のビジネスにどう反映させるべきか、その「読み解き方」のポイントをまとめました。
AI、サービス、および専門化が次なるIT成長の波を牽引していることが明らかに
第4回「テクノロジーの方向性(Direction of Technology)」レポートは、IT業界の動向を形作る主要なトレンドに加え、地域、パートナーの種類、技術分野ごとの具体的な分析を紹介しています。
カリフォルニア州フリーモントおよびフロリダ州クリアウォーター – 2025年9月23日 – ITエコシステムのリーディング・グローバル・ディストリビューターおよびソリューション・アグリゲーターであるTD SYNNEX(NYSE: SNX)は本日、第4回「テクノロジーの方向性(DoT)」レポートを発表しました。
本レポートでは、AI主導の変革と、強靭なサイバーセキュリティ・フレームワーク、高度な専門性、そして自動化を駆使する人材を融合させることで、マクロ経済的な課題が依然として続く中でも成長を牽引している実態を明らかにしています。
今年のレポートは、地域、パートナーの種類、テクノロジー分野ごとに詳細なデータを提供する新たな構成を採用し、これまで以上に市場を徹底的に分析しています。
40カ国にわたる1,400社以上のITソリューションプロバイダーおよびリセラーからのフィードバックに基づき、本レポートは、AI時代において「サービス主導型」のビジネスモデルがいかに成功の原動力となっているかを強調しており、ISV(独立系ソフトウェアベンダー)やプロフェッショナルサービス企業が将来に対して最も高い楽観的な見方を示しています。
パートナーの約75%が「AIは自社の将来にとって不可欠である」と回答しており、AIは競争上の必須要件であると同時に、イノベーションとコア能力を融合させた新しい製品の触媒として位置づけています。
スキルを持つ人材への需要の高まりと相まって、こうした変化は、パートナー企業にとって、AIが普及した未来において効率性と成長を推進するために、ワークフローや運営モデルを再設計する機会を生み出しています。「テクノロジー業界が劇的な変化を遂げる中、当社のパートナー各社は刻々と変化する課題に直面していますが、TD SYNNEXはそうした課題をチャンスに変えるお手伝いをいたします」と、TD SYNNEXのCEOであるパトリック・ザミットは述べています。
「今年のDoTレポートは、次世代の技術、サービス、専門性に注力しつつ、中核技術におけるレジリエンス(回復力)を構築することこそがリーダーシップの源泉であることを示しています。地域ごとの視点やパートナーのビジネスモデルを軸にレポートを構成することで、グローバルなテクノロジー・エコシステム全体においていかに価値を提供すべきかについて、より明確な視点を提供することができました。」
2025年のIT市場を形作る「6つの主要トレンド」
本レポートでは、2025年のIT市場を形成する6つの重要な世界的トレンドを特定しています。
1. AIは市場でのリーダーシップを築く基盤である
AIの導入が加速する中、パートナー企業は、AIを活用したサイバーセキュリティ(58.4%)やAI主導の自動化(54.3%)など、より高度で影響力のあるユースケースを提供することで差別化を図らなければなりません。
これらは、パートナー企業自身が、自社のビジネスに大きな影響を与える可能性が高いソリューションとして挙げたものです。
2. サイバーセキュリティは基本だが、依然として激戦区
セキュリティは依然としてITエコシステムへの参入条件となっており、パートナーの80%が少なくとも1つのサイバーセキュリティソリューションを提供しています。
また、過去2年間でエンドポイントソリューションの主要な成長要因として浮上しており、パートナー企業はこれに注力し、「高度なエンドポイントセキュリティ」を今後1年間の新規サービス展開における優先度第2位に位置付けています。
しかし、AIを活用した攻撃(49.2%)やデータ侵害(41.9%)などの新たな脅威を主要な懸念事項として挙げており、課題は依然として最優先事項となっています。
3. 専門性が規模に勝る
エンドユーザーがパートナーに求める要素の第1位は「業界の専門知識とコンサルティング」であり、その次に「優れたカスタマーサービス」が続いています。
パートナー各社はすでにこの市場の期待に応えるべく対応を進めており、90%がサポートおよび保守サービスの提供を、88%がカスタムIT統合の提供を、82%がマネージドサービスの拡大を今後1年以内に計画しています。
4. AI時代に向けた業務モデルの再構築
経営幹部の約70%が人材不足に直面しており、それがAI(43%)、データ&アナリティクス(41%)、サイバーセキュリティ(39%)の導入に直接的な影響を及ぼしていると指摘しています。
これは、業務の進め方において業界全体で変化が起きていることを示しており、パートナー企業にとっては、AIを活用した未来に向けて効率性を高めるべく、業務モデルやワークフローを再構築する好機となっています。
5. マクロ経済の課題は残るものの、成長の可能性は依然としてある
世界的な逆風にもかかわらず、ほとんどの地域で成長見通しは依然として良好であり、パートナー企業の66%が売上増を報告しています。
戦略的な先見性と業務上の機動性を兼ね備えた企業が、成長を実現する上で最も有利な立場にあります。
6. 新たな勝者:サービス主導型かつ将来への備えが整った企業
「ネット成長指数(Net Growth Index)」が示す通り、ISV(120社)とプロフェッショナルサービス企業(110社)が業界の成長を牽引する存在として頭角を現しています。
これは、これらの企業がバランスの取れた事業ポートフォリオの構築に努めているためであり、その半数以上が、人工知能やデータ・アナリティクスといった急成長分野の能力を中核事業と融合させています。
レポートの「読み解き方」:新導入された2つの指標
今回のレポートがこれまでの「トレンド予測」と一線を画すのは、パートナー企業が自社の立ち位置を客観的に評価(ベンチマーク)できるように、100を基準スコアとする「2つの新指標」を導入した点にあります。
- ネット成長指数(Net Growth Index):実際の収益パフォーマンスを測定
- ネット楽観指数(Net Optimism Index):将来に対する期待感や自信を測定
100を超えれば成長や楽観が加速していることを示し、100を下回れば停滞や悲観的な傾向にあることを反映しています。
これにより、今後数年間にわたる市場の進化を、一貫した基準で追跡することが可能になりました。
ネット成長指数(Net Growth Index)
地域別: アジア太平洋・日本(APJ)と北米がスコア「107」で世界をリードしています。
パートナー種別: ISV(独立系ソフトウェアベンダー)が「120」、プロフェッショナルサービスが「110」と高く、一方で従来のVAR(付加価値リセラー)などは基準を下回る傾向にあります。
ネット楽観指数(Net Optimism Index)
地域別: ラテンアメリカ・カリブ海(LAC)が「116」と全地域をリードする一方、APJ地域は期待をやや抑え気味な傾向にあります。
パートナー種別: プロフェッショナルサービスが「116」でトップ、ISVが「106」と続きます。
レポートの「舞台裏」:なぜ今、このデータが必要なのか?
このレポートは、単に「AIが流行っている」と伝えるためのものではありません。
制作の舞台裏では、変化の激しい市場でパートナー企業が「取り残されないためのロードマップ」を提供することが意図されています。
今年のDoTレポートでは、パートナー企業がグローバルITエコシステムの複雑さを明確かつ正確に把握できるよう、より体系化され、インタラクティブな構造が導入されています。
調査結果を「グローバルトレンド」「地域ごとの特徴」「パートナータイプ別プロファイル」「重点技術分野」の4つのチャプターに整理することで、読者は自身のビジネスモデルや市場にとって最も重要な要素を特定し、レポートを自分用にカスタマイズできるようになります。
このアプローチは、チャネルパートナーがより良い意思決定を行えるよう支援することを目的としています。
特定のパートナータイプや地域に合わせた洞察を提供することで、TD SYNNEXはチャネル組織が自社をベンチマークし、成長機会を特定し、今後の戦略を市場の現実に合わせて調整できるよう支援します。
TD SYNNEXのグローバル・コーポレート・コミュニケーションおよびシチズンシップ担当コーポレート・バイスプレジデント、ジル・カーメスは、第4回目となる本レポートについて次のように述べています。
4年目を迎えた「Direction of Technology」レポートは、その対象となる市場と共に進化し続けています。各エディションは、お客様が複雑な状況を乗り切り、機会を捉えるのに役立つ新たな視点と実践的な洞察を提供しています。
今年の調査結果は、ビジネスモデルを再構築し、AI、サービス、専門性を活用して未来を形作る企業こそが、次の成長の波を生み出すことを強調しています。
まとめ:自社の「専門性」を再定義する
この最新レポートが示しているのは、「規模の拡大」よりも「専門性の深化」こそが成長の公式であるという事実です。
特に日本を含むAPJ地域は、成長パフォーマンス(Net Growth Index)では世界トップクラスでありながら、将来への楽観視(Net Optimism Index)では慎重な姿勢を見せています。
この「温度差」を埋める鍵こそが、AIやセキュリティを自社の専門サービスとしてパッケージ化し、顧客に具体的なビジネス価値として提供できるかどうかにかかっています。
変化の激しいIT業界において、本レポートが示す「新指標」や「6つのトレンド」を自社の戦略策定の羅針盤として活用してみてはいかがでしょうか。
出典:
TD SYNNEX Report Finds AI, Services and Specialization Are Driving the Next Wave of IT Growth – News
Behind the Scenes: Launching the Fourth Annual Direction of Technology Report – News
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戦略策定のヒントとして、ぜひご活用ください。
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