サーバーメンテナンスとは?何をやったらいい?押さえておきたい実施内容と方法を解説
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多くの企業や組織で業務のIT化が進められる昨今、ITシステムやデータを格納するサーバーの稼働は業務継続の前提となっています。まさに組織の業務を支える基盤として、重要な役割を果たしているといえるでしょう。さまざまな形態がありますが、基本的にサーバーは大型のコンピュータです。一種の機械、あるいは精密機器でもあります。
連続的に精密な機械を稼働させ続ける場合、定期的かつ適切に検査とメンテナンスを行うことが必要です。自動車を安全に利用するために車検があるように、サーバーも継続的に利用するにはメンテナンスが欠かせません。そこで、サーバーメンテナンスの概要や詳細、具体的な方法、そしてメーカーの保守内容などについて詳しく解説します。
サーバーメンテナンスとは?
サーバーメンテナンスが必要な理由
サーバーメンテナンスとは、サーバーを稼働させるにあたり必要となる対処を行い、正常な動作を維持することです。サーバーは大型のコンピュータで、パソコンよりも多くの計算処理を行うことが可能。近年では、仮想化やクラウドによってもサーバーが提供されています。コンピュータですので精密機械の一種にあたり、大型の精密機械を連続的に稼働させるにはメンテナンスが必須です。
サーバーでは業務に関わる重要なシステムが稼働し、企業の機密情報や利用者の個人情報などのデータが格納されています。たとえば自動車と同様に定期的なメンテナンスを行わなければ、やがて故障やトラブルの発生につながるでしょう。サーバーの故障やトラブルは、所有者に業務停止やお金では代えがたい重要なデータの損失、社会的な信頼の失墜などを与える可能性があります。
サーバーにおいては、ハードウェアとソフトウェアの両面からメンテナンスを行います。機械の一種ですので、サーバーでも部品は経年劣化し、寿命を迎えて破損することも考えられるでしょう。このハードウェア的なトラブルを稼働中に起こさないようにする予防保守も、サーバーメンテナンスの一つです。
もう一方で、ソフトウェア側のメンテナンスも必要となります。連続稼働によるメモリ上の不正な状態を解除するためのOS、ミドルウェア、ソフトウェアの再起動もメンテナンスの一つです。また、ITシステムでは日々データの量が増加し続けており、チューニングも必要となります。セキュリティ面では、OSやソフトウェアの脆弱性に対するセキュリティアップデートを適用する対処も欠かせません。各種のファイルやデータなども、不要なものは削除することでサーバーの動作を最適化できます。
万が一、トラブルが発生した場合には、ITベンダーやメーカーのサポートを利用する場合が多いでしょう。しかし、サポート切れが起きないようチェックすることもメンテナンスには含まれます。また、Webサービスなどで新規機能の追加に付随し、アプリケーションの入れ替えを行うこともサーバーメンテナンスの一つです。
サーバーメンテナンスの注意点として、メンテナンス実施中にサーバーの利用が停止することが挙げられます。業務で利用しているサーバーなら、業務時間外や業務を停止してメンテナンスのタイミングを作る必要があるでしょう。作業時間が限られ、なおかつ失敗できない作業なのです。
サーバーメンテナンスを怠った場合のリスク
また、サーバーメンテナンスを怠った場合に発生するリスクについても確認しておきましょう。まず、サーバーの稼働状況や機器の状態を把握していない場合には、システムトラブルの発生や内容をまったく予期できません。トラブルの予測ができていなければ、その対処も想定できないでしょう。定期的にメンテナンスを行うことで状態を把握し、トラブルの可能性やその対処を想定することが可能です。ハードウェアの故障の予兆、システムの不調などは、メンテナンスによりある程度把握できます。
また、いざトラブルが起きた際、その場で対応を行っていくと保守工数が増大することにもつながります。トラブルが起きてしまうとサーバーの復旧、業務影響範囲への連絡やフォロー業務などが発生してしまい、多くの工数が費やされてしまうでしょう。可能な限りトラブルの発生を抑止し、起きた場合の対処も準備しておくことが、最終的な保守工数の削減にもつながっているのです。
サーバーメンテナンスとは何をしている?内容と具体的な方法について
サーバーメンテナンスの内容や具体的な手順は、実施内容およびサーバーの種類などによって異なります。ここでは一般論として、サーバーメンテナンスで行われることのある内容と手順について取り上げました。
サーバーメンテナンスの内容
サーバーメンテナンスでよく行われる内容の一つに、サーバーの記憶領域の容量に関するメンテナンスがあります。ハードディスクなどの記憶領域はサーバーでも有限です。特にオンプレミスでは物理筐体に依存するため、拡張は容易ではありません。そのため、システムやデータ格納に利用する領域は効率的に利用することが大切です。
サーバー上に不要なファイルがある、蓄積されている場合は、それらを削除します。ディスクの利用率を確認し、メールサーバーなら過去の不要なメール、ファイルサーバーなら不要ファイル、データベースサーバーなら過去データ、そしてアプリケーションサーバーの場合はログファイルなどを削除しましょう。
サーバーメンテナンスでは、サーバー環境に関するメンテナンスも重要です。OSやソフトウェアのセキュリティアップデートおよびパッチの適用、サーバーで稼働しているアプリケーションやミドルウェアの状態確認、サーバー部品の検査などを実施します。セキュリティアップデートやパッチ適用は、サーバーのネットワーク環境によって適用の仕方が異なるものです。外部接続がある場合はインターネット経由でダウンロードし、限られたネットワークにしか接続できなければ可搬記憶媒体にアップデートファイルやパッチをコピーして適用を行います。
サーバー環境のメンテナンスは、サーバーの用途によって実施内容が変わります。Webサーバーやアプリケーションサーバーなどのプログラムを実行するサーバーでは、アプリケーションの再起動、モジュールの更新などもメンテナンスに含まれます。
また、サーバーの部品に異常があれば、部品の交換が必要です。部品交換などのハードウェアメンテナンスを実施する際には、サーバーの停止と再起動が必ず伴う点も注意しましょう。
サーバーメンテナンスの手順
サーバーメンテナンスに付随して行うべきことと、その手順は下記の通りです。また、ここでは記載していませんが、サーバーの利用者が複数存在する場合は、サーバーメンテナンスに関連する業務の調整や実施アナウンスが必要となります。
1. アップデート適用のチェック
サーバーメンテナンスの前に事前調査を行い、適用できるアップデートなどを調べておきましょう。メンテナンスは頻繁に行えない場合が多いため、ある程度まとめて実施すると効率的です。
2.バックアップ
サーバーのメンテナンス実施前には、必ずバックアップを取得しましょう。メンテナンスの途中で問題が発生した場合に、もとの状態に戻せるよう備えておくことが大切です。バックアップの種類は実施するメンテナンス内容によって異なり、OSやソフトウェアの更新ではシステムバックアップ、データやファイルの削除ならデータバックアップを実施します。
3.サーバーメンテナンス内容の実施
上記で記載したサーバーメンテナンス内容を実施します。
4.停止と再起動
サーバーメンテナンスのタイミングで、可能であればサーバーの停止と再起動を行っておくとよいでしょう。停止のタイミングについては、ハードウェアメンテナンスであれば内容の実施前です。また、セキュリティアップデートなどでは、途中で再起動が必要となる場合もあります。
ここまでで解説した内容にとどまらず、導入や利用計画といった初期フェーズ、サポートが切れた機種の対応、さらには機器のライフサイクルの終焉である破棄に関するサービスもサーバーメンテナンスの一環に含まれます。特に機密情報や個人情報を格納したサーバーの破棄では、確実なデータの消去が必須です。
まとめ
サーバーメンテナンスはサーバーが正常に稼働し、性能を発揮できる状態にするためのメンテナンスです。サーバーは精密機械の一種でコンピュータでもあるため、ハードウェアとソフトウェアの両面に関するメンテナンスが欠かせません。サーバーのメンテナンスが適切に行われていないと、故障などのシステムトラブル多発のリスク、セキュリティ面でのリスクが高まってしまいます。
実際のサーバーメンテナンスにあたっては、バックアップの取得や停止、再起動の実施など慎重に行って不測の事態に備えます。サーバーの稼働は業務遂行に直接的に影響することが多く、安全性を確保しながらメンテナンスを行うことが大切です。また、サーバーの利用者には、メンテナンスのタイミングなどを調整しておくことが求められます。
TD SYNNEXでは、サーバーに関するあらゆる問題を解決するサービス「ServiceSolv」を提供しています。これはサーバーの導入や展開、運用から破棄までのライフサイクルに対応したサービスです。サーバーメンテナンスに関するお悩みがあれば、ぜひフォームよりお問い合わせください。
[筆者プロフィール]
コウヤマヒロシ
フリーランスライター兼ITエンジニア。メーカー系SIerにて10年以上勤務し、その後フリーのライター業を中心に活躍中。プログラマーからプロジェクトマネージャーまでの経験あり。セキュリティ、職種の解説、技術記事など広くIT関連について記事作成を行っています。