AppSheet で業務効率化! 導入前に知っておきたいこと
この記事では、ちょっとしたアプリの作成に便利な AppSheet について、導入前に知っておくとよい点をご紹介します。
「ちょっとしたアプリがほしい」
業務の効率化にちょっとしたアプリがあると便利なのに、と思ったことはありませんか?
この記事をご覧の方は、アプリ開発って難しそう、費用も時間もかかりそう、ウチにはそんなもの用意できない、でも何か良い方法はないかと探しているのではないでしょうか。
そこで便利なのが、AppSheet というノーコードアプリ開発プラットフォームです。
これは、IT部門から一般の従業員までシチズン デベロッパーでもノーコードでアプリを作る事ができるサービスです。
この記事では、この AppSheet について、導入前に知っておくとよい点をいくつかご紹介します。
ノーコードツールの初心者に向けての記事となりますので、正確性よりもわかりやすさを優先している記述がありますこと、あらかじめご了承ください。
社内用のアプリ作成なら AppSheet が圧倒的におすすめ
AppSheet は、Google が提供するノーコード開発プラットフォームです。
従来のアプリ開発と比較して、システムやソフトの購入が不要なため大幅にコストダウンしてアプリを開発できます。
また、AppSheet は 2020 年 1 月に Google に買収され、Google Cloud のサービスとして提供されています。
そのため、Google の堅牢なセキュリティ基盤により、データの安全性が確保されています。
プログラミングの知識は不要!
ノーコードツールとは、ノー+コード、つまり難しいプログラムをコーディングしなくても開発できるツールのことです。
AppSheet に関していえば、Excel のような操作感で、関数や数値入力、ドラッグ&ドロップを使ってアプリを作成できます。
Excel 関数程度の知識は必要ですが、JavaScript、PHP、Python、Go などのプログラミング言語の知識がなくても支障がない程度の作りになっています。
画面構成は AppSheet に丸投げ
AppSheet で作成したアプリは、パソコン・タブレット・スマートフォンのそれぞれの画面に合うように自動で構築されるため、個別に開発したり調整する必要はありません。
端末や OS に依存せずにアプリを構築できるので、開発の場面でも使用の場面でも非常に便利です。
また、AppSheet はテンプレートが豊富に用意されています。
ニーズに合わせたテンプレートをベースにカスタマイズすることで、より簡単にアプリを作成することができます。
デザインの自由度よりも、手軽にアプリを作成できることを重視する方におすすめです。
AppSheet はこんな方におすすめ
- プログラミングの知識はないが業務を効率化するアプリを作りたい方
- アプリがほしいが外注する余裕がない方
- Excel でやっていることをアプリ化したい方
どういったアプリが作成できる?
AppSheet を使えば、在庫管理、資産管理、シフト管理、タスク管理、日報アプリ、地図情報共有など、様々な業務に対応するアプリを作成できます。
時間管理、スケジュール管理、地図アプリ、在庫管理、配送管理など、様々なテンプレートが用意されています。
これらのテンプレートをベースにカスタマイズしていくことで、簡単にアプリを構築することが可能です。
ユーザーのアイデア次第で様々なアプリを作成できます。ここでは、いくつかサンプルアプリをご紹介します。
備品の使用履歴アプリ(難易度:初級)
備品が最後に利用された日時や使用者、状態を記録することで、紛失や破損を防ぎ、適切な管理を実現します。
Equipment Inspections のテンプレート をベースにして作ることができます。
テンプレートでは、ハンマーやノコギリなどの工具の使用履歴と状態を記録するようになっています。
発展形として、例えば消耗品を登録して、規定数を下回ったら担当者にメール通知を送信する、といったことも実現可能です。
連絡先共有アプリ(難易度:中級)
連絡先の氏名、メールアドレス、電話番号などの情報を記録し、情報をユーザー全員で確認するアプリです。
端末や OS に依存しない連絡先共有が可能になります。
Contact Manager のテンプレート をベースにして作ることもできます。
テンプレートでは、氏名、メールアドレス、電話番号、住所などの情報を登録し、アプリ上で閲覧、発信などができるようになっています。
便利な機能
AppSheet には、OCR 機能(Optical Character Recognition/Reader:光学文字認識)など、使い勝手のよい機能が実装されています。
OCR 機能を使えば、名刺や印刷紙面を写真に撮って画像から文字を読み取ることができます。
フォーマットが統一されている場合は、高度な設定を行うことで、自動的に項目に入力することも可能です。
ただし、名刺のようにデザインが異なる場合は、手作業での確認・修正が必要になります。
それでも、手入力するよりも効率的にデータを入力できます。
ワークフロー機能を使えば、アプリを自動化することもできます。
例えば、条件に応じて通知を送信したり、メールを自動生成したり、レポートを作成したり、データを自動更新したりすることができます。
AppSheet には、ここで紹介した以外にも、多くの便利な機能が搭載されており、従来のアプリ開発に比べて様々な機能を手軽に実現できます。
ステップバイステップが重要
AppSheet は多機能なツールですが、いきなり複雑なアプリに挑戦すると、操作方法が分からずに挫折してしまう可能性があります。
特に、プログラミング未経験者やノーコードツール初心者の方は、簡単なアプリ作成から始めて AppSheet の操作に慣れることをおすすめします。
プランごとの特徴と料金
AppSheet には、いくつかの有料プランがあります。
アプリのプロトタイプを作成する場合は、無料版を利用できます。
無料版は一部機能が制限されているため、本格的に導入する前の、手応えを確認する用途としての利用をオススメします。
有料プランでは、基本的なアプリ作成と自動化機能、スプレッドシートやクラウドストレージとの連携、AppSheet データベースの利用が可能です。
AppSheet Core | AppSheet Enterprise Plus | |
年間契約時の ユーザーあたりの月額 | 1,040円/ユーザー | 2,080円/ユーザー |
アプリケーションと自動化機能 | 高度 | 高度 |
外部データとの連携 | 基本 | 高度 |
セキュリティ | アプリケーションセキュリティ制御 | 強化されたアプリケーションセキュリティ、チーム管理、ガバナンス制御 |
サポート | カスタマーサポートにメール可能 | 優先顧客サポート |
その他 | – | 機械学習モデリング 高度な認証 チームコラボレーション |
対象の Google Workspace ユーザーであれば追加料金不要
Google Workspace の Business Standard、Business Plus、Enterprise Standard、Enterprise Plus のいずれかのエディションを契約している場合、AppSheet Core のライセンスが含まれているため、追加料金なしで AppSheet を利用できます。(Google Workspace 組織のドメイン所有権を証明済みである必要があります。)
対象のエディションについては 組織で AppSheet を管理する > AppSheet Core が含まれる Google Workspace のエディション からご確認ください。
追加料金なしで利用できるので、Google Workspace の対象ユーザーであれば AppSheet を使わない手はありません。
逆に、これから AppSheet の Starter または AppSheet Core の購入を検討している Google Workspace 非加入の組織の場合は、AppSheet と同程度の値段で、Google Workspace も利用できてしまうので、Google Workspace の導入を検討してしまってもよいかもしれません。
(Google Workspace について、詳しく知りたい方は TD SYNNEX までお問い合わせ ください。)
AppSheet 導入の際の注意点
便利な AppSheet ですが、利用に際してはいくつか注意点があります。
利用ユーザーの範囲
AppSheet は、ライセンスを持っているユーザー間で共有することができます。
Google Workspace に付属している AppSheet Core を使用している場合は、基本的に組織内(同じドメイン内のユーザー)であれば問題なく共有することができます。
ライセンスを持つ組織外のユーザーとアプリを共有することもできます。
共有相手のメールアドレスを設定することで、Google Workspace のファイルと同様に、アプリへのアクセス権を付与できます。
ただし、組織外と共有するには、管理コンソールで AppSheet の共有設定を変更する必要があります。
セキュリティに関する設定であるため、変更の際は注意が必要です。
また、ユーザーにサインインを求めず一般に公開して使うようなアプリの場合は、別途必要なライセンスまたはプランを購入する必要がある点にはご注意ください。
リンク:サブスクリプションの選び方
デザインの自由度
AppSheet は、豊富なテンプレートが用意され、マルチデバイスに対応したデザインで出力されます。
レイアウトをゼロから考えなくても良いのはメリットですが、デザインの自由度はフルスクラッチ(プログラミングしてアプリをゼロから構築した場合)と比べると制限されたものになります。
ウェブサイト制作ツールのように、自由に色、フォント、レイアウトをカスタマイズすることはできません。
テンプレートによって洗練されたデザインのアプリを作成できますが、デザインの自由度の制限から、主に社内利用を目的としたアプリ開発に適しています。
ちょっとした「知識」は必要
AppSheet はノーコードで開発できるサービスですが、本当に「知識不要」でできるかというと、答えは「ノー」であると思います。
AppSheet はプログラミング不要とはいえ、ある程度の知識や慣れは必要です。
例えば、解説記事を見ながらアプリを作成する場合でも、式の書き方やデータベースの構造を理解していないと、難しいと感じるかもしれません。
アプリを作成するには、IF 関数や VLOOKUP 関数などの Excel 関数の知識、データベースの基本的な知識(テーブル構造、データ型など)があると役立ちます。
実際に「こういうアプリを作ってみよう!」と思ってやり方の解説記事を検索してみると、なにが書いてあるのかよくわからず、お手本の写ししか作れない、または、お手本をなぞることも難しいということもあります。(プログラミングが出来ない筆者の体感です)
TD SYNNEX の販売パートナーの方へ
TD SYNNEX は、Google Workspace のディストリビューターです。
有料版 AppSheet の利用を希望するお客様に対して、Google Workspace をご提案することができます。
AppSheet Core ライセンスは、Google Workspace Business Starter、Google Workspace Business Standard、Business Plus、Enterprise のいずれかをご利用中であれば、追加料金なしでご利用いただけます。
例えば Google Workspace Business Standard の場合、AppSheet Core を単体でご契約いただくよりも月額費用は高くなりますが、AppSheet Core の料金に少しプラスするだけで、Google Workspace の様々なサービスをご利用いただけるメリットがあります。
<1ユーザーあたりの月額費用比較>
Google Workspace と AppSheet について、年間契約のユーザーあたりの月額料金をまとめました(2024年12月現在)。
- Google Workspace Business Starter:680円
- Google Workspace Business Standard:1,360円
- Google Workspace Business Enterprise:2,040円
- AppSheet Core:1,040円
- AppSheet Enterprise Plus:2,080円
AppSheet Core単体でご希望のお客様には、Google Workspace 導入によるコストメリットとサービスの充実度をアピールし、Google Workspace Business シリーズの利用をご提案ください。
なお、 AppSheet Enterprise Plus ライセンスは、Google Workspace Business シリーズには含まれていません。
AppSheet Enterprise Plus ライセンスをご希望のお客様には、別途 AppSheet Enterprise Plus の購入をご案内ください。
おわりに
この記事では、Google が提供するノーコード開発プラットフォーム AppSheet について解説しました。
AppSheet を使えば、プログラミングの知識がなくても、Excel のような操作感で、業務効率化アプリを簡単に作成できます。
費用面でも、無料版や Google Workspace との連携で、低コストで導入できる可能性があります。
もちろん、注意点もいくつかありますが、AppSheet は、業務改善を検討している方にとって、非常に強力なツールです。
賢く AppSheet を使って、創造的な時間を増やしましょう!