Appsheet を 生成AI 「Gemini」で作成する方法とは?

AIと対話することで AppSheet(アプリ)を作成できる、便利な Gemini for AppSheet について説明します。

本記事での内容は、すべて2024年5月のものです。
情報は日々更新されているため、必ず公式の最新情報も確認するようお願いいたします。

Gemini for AppSheet とは

Gemini(旧称 Duet AI) は、Google で構築された 人工知能モデルです。
Google Workspace と Google Cloud をシームレスに統合しており、Google 製品全体で利用することができます。
そして、Gemini for AppSheet では、その Gemini を用いることで AppSheet アプリの作成を補助し、アプリ構築のスタートアップを高速で進めることができます。

使い方は簡単で、Google チャットと対話して、必要な情報やチャットから返ってきた質問に返答するだけです。(詳しい使い方は後述します)
必要な情報が揃ったと Gemini が判断し、作成者が「アプリの作成」ボタンを押せば、AppSheet にアプリがレンダリング(入力した情報から内容を視覚化、この場合はアプリの形にすること)されます。
Gemini によってレンダリングされた AppSheet アプリは AppSheet からカスタマイズすることも可能であり、柔軟性も持ち合わせています。

アイデアさえあれば Gemini と対話するだけでアプリを作成することができるため、アプリのプロトタイプ作成やイメージを固めたい場面で力を発揮します。
また、Gemini との対話から AppSheet のアプリが構築されるため、自分の意図がどのようにコードになっているか把握しやすくなります。
そのため、AppSheet に不慣れな人、これから AppSheet の活用を始める人はもちろん、データ・スキーマ・情報の整理方法に詳しくない人にとって、アプリへの理解と目的実現のための手段としても非常に優れています。

AppSheet とは

App Sheet は、Google Cloud のプロダクトの1つであり、アプリ開発のノーコードプラットフォームです。
非エンジニアでもアプリ・ワークフローを作成することが可能です。
多種多様なデータソースへの接続が可能で、特別な作業なしでパソコン・モバイル・タブレットに対応したアプリを作成できます。
また、既に利用している Google Workspace ツールと統合してアプリを構築することで、作業時間の節約が期待できます。

AppSheet は期間制限のない無料プランがあるので、試しに使ってみることが可能です。
無料プランは、ユーザーは自身のみ、デプロイ不可という制限があり、機能制限があるため、本格的に利用するためには有料プランを契約する必要があります。
有料のプランは、Starter、Core、Enterprise Standard、Enterprise Plus の4種類があり、それぞれ利用可能な機能や範囲が異なります。

リンク:AppSheet – Resources ※英語ページ

使い方

2024年2月末日時点では、Gemini for AppSheet は一部のユーザーのみの利用となっています。
実際に利用するためには、必要なライセンス・プランの契約と申請が必要になる点にはご注意ください。
以下では Gemini for AppSheet の操作手順についてご紹介します。

事前準備

Gemini for AppSheet を利用するためにはいくつかの準備が必要です。
以下の内容について確認した上で準備を進めます。

  1. Gemini for AppSheet が利用可能なライセンス・エディションの契約
    必要なライセンス・エディションがない場合、Gemini for AppSheet を利用することはできません。
    利用可能なライセンス・エディションについては後述の「対象のライセンス・エディション」をご確認ください。
  2. 使用言語を英語に設定
    現時点では日本語で Gemini for AppSheet を利用することはできません。
    そのため、Google アカウント>個人情報>他の情報と Google サービスの設定>ウェブ向けの全般設定 から 言語を英語に変更します
    言語の設定ページをブックマークしておくと設定を戻す際にスムーズです。)
  3. ChatBotのインストール
    Gemini for AppSheet は、Google チャットを利用します。
    (1) Google チャットを開きます
    (2) チャットを新規作成(New Chat)ボタンを押して、アプリを検索(Find apps)を選択します(カッコ内は英語表示時のテキストです)
    (3) 検索フィールドに「Gemini for AppSheet」と入力し、表示された ChatAppsの「チャット」をクリックします(※アプリ名称は変更される可能性があります)
    (4) Google チャット にウェルカムメッセージが表示されれば準備完了です

将来的に全ユーザーにリリースされたとしても、準備内容に大きな変化はないと推測されます。(言語設定の変更は不要になるかもしれません。)

実行方法

Gemini for AppSheet は チャットでAIと対話しながらアプリを作成します。
作成前には作成したいアプリの要件を明確にしておきましょう。
今回は、Google Workspace Blog に掲載されている動画を例に操作方法を紹介します。
下記参考リンクの Advancing no-code app creation にある動画を合わせてご覧いただきますと、よりイメージしやすくなります。
参考:Google Workspace Blog – Build workflows across Google Workspace to connect user experiences across apps(Advancing no-code app creation)

  1. ChatBot に「アプリで何がしたいか」を入力
    動画の例の場合、チームの出張依頼を追跡するアプリを検討しています。
    出張の理由や行き先を記入し、そのリクエストを上司に送り承認を得る必要があることを記述しています。
  2. ChatBot とデータ要件について対話する
    動画の例では、チャットが内容を理解した上で、ユーザーに選択肢を提示して確認しています。
    通知方法、アプリに表示する項目、データテーブルに保存する項目、アプリの名前をどうするか など。
  3. 「アプリの作成(Preview App)」をクリック
  4. アプリがレンダリングされる
    AppSheet の編集画面に入力された内容を反映したアプリがレンダリングされます。
    この際、アプリケーションのデフォルトデータベースとなる AppSheet データベース、バックエンドデータベースも生成されます。 アプリケーションはプレビュー画面で動作イメージを確認することができます。
  5. 必要に応じて修正、保存
    データ項目名や表示形式など、変更が必要な場合はユーザーが手を加えることができます。
    作成したアプリケーションは AppSheet の編集画面で右上の「保存(Save)」ボタンで保存し、デモとして確認できます。

利用についての補足

作成済みのアプリには利用できない

既に AppSheet でアプリを作成済みの場合、そのアプリは Gemini for AppSheet で編集・変更することはできません。
Gemini for AppSheet はあくまで作成の初期に利用できるものです。
同じ AppSheet アプリであっても、既にレンダリングされたものに対して手を加えることはできないことに注意してください。

機械学習データに利用されることはない

Gemini はユーザーのデータを学習に使うことはありません。
AppSheet で作成したアプリに登録したデータは、勝手に機械学習の材料として利用される恐れはありません。

AppSheet向きアプリの傾向

AppSheet は、事務処理など個別のカスタムケースが少ないアプリの作成に向いており、それらに適した豊富なテンプレートが用意されています。
デジタル化のネックになっているような紙で管理している課題に対して特に強みを発揮します。
人員、タスク、物品、プロジェクトの管理など、日常のちょっとした課題の解決に活用することができます。

  • 備品管理
  • 有給休暇の申請
  • 注文の承認やユーザー通知
  • シフト登録や出退勤などの管理
  • ドライバーと配送物の現在地把握
  • バーコードリーダーやQRコードリーダーを用いた在庫管理
  • 訪問者のチェックイン管理
  • インシデントの共有・報告

AppSheet でのアプリ作成は、基幹システムやビッグデータの管理など、複雑な対応や大規模なデータ処理が必要なものには不向きといえます。
こういったアプリの構築が必要な場合は、AppSheet の利用ではなくしっかりしたプロジェクトの元、エンジニアへ依頼することを推奨します。

Gemini for AppSheet でアプリを作成するメリット

Gemini for AppSheet はもちろんのこと、AppSheet でのアプリ作成はどのようなメリットがあるでしょうか。
以下では Gemini for AppSheet だからこそ実現できるメリットについてみてみましょう。

非エンジニアだけでアプリを構築できる

エンジニアの手を借りずにアプリを作れるというのが、何より大きなメリットの一つです。
アイデアさえあれば、開発の知識がなくても Gemini と対話するだけでアプリを構築することができます。

ノーコードでアプリが構築できる AppSheet に、さらに初期の構築を AI が行ってくれるため、製作者は少しの操作だけでアプリを形にすることができます。
対話形式で必要事項を構築するため、製作者自身の思考をまとめる助けにもなり、自身の考えをストレートに反映したアプリ化することができます。

エンジニアへのパスを円滑にする

エンジニアが必要になるようなアプリ開発を行う場合、非エンジニア主体で実現したいことをすり合わせすると時間や手間がかかる上、すれ違いや勘違いなどでうまくいかないこともあります。
しかし、Gemini for AppSheet で望むアプリのプロトタイプが構築されていれば、どのようなアプリを求めていて、どのような機能を構築すべきか、すり合わせがスムーズになることが期待されます。
両者の齟齬を減らして効率よくアプリ構築を進めることができます。

エンジニアが本来業務に専念できる

非エンジニアだけではなく、エンジニアにもメリットがあります。
「ちょっと便利になるアプリの構築」を Gemini for AppSheet にこなしてもらうことで、エンジニアが手を動かす必要はなくなります。
「ちょっとした開発」によって本来の業務を妨げる回数を大幅に減らすことができるでしょう。

差異を補完した自動レンダリング

AppSheet はアプリの作成の際、自動的にパソコン・モバイル・タブレットの全てに対応するようにレンダリングを行います。
デバイスのみならず、モバイルにおいても iOS と Android のようにOSが異なる場合もフォローしています。
アプリの利用環境が一様でない場合においても柔軟に対応できるアプリを構築することが可能です。 AppSheet 自体に多くの機能が組み込まれています。
また、カメラを使うアプリや動画・音声再生のあるアプリなどは、通常であればデバイスやOSごとに調整する必要がありますが、AppSheet においてはその対応は必要ありません。
それぞれのデバイスに適した機能・表示を簡単にアプリに盛り込むことができます。

Gemini for AppSheet の導入方法

現在、AppSheetをAIで作成するサービスの Gemini for AppSheet は、一部ユーザーのみの限定公開になっています。
そのため、利用したい場合は AppSheet セールス担当者に問い合わせる必要があります。

また、利用資格としてはAppSheet の Core 以上のプラン、または Google Workspace の 一部の有償エディションの契約契約が必要になります。
(2024年2月末日時点では、AppSheet Starter プランでは利用することができませんが、将来的には利用可能になる予定となっています。)

利用条件

利用条件は以下の通りです。

  • Google チャットを利用できること
    組織としてGoogle チャットへの使用許可があるかどうか
  • Gemini for AppSheet の利用に必要な契約があること
    AppSheet または Google Workspace の契約が Gemini for AppSheet の利用対象になっているかどうか
  • 言語設定が英語になっていること
    現時点では日本語で Gemini for AppSheet を利用することはできません
  • プライベートビューで Gemini for AppSheet の利用が許可されていること 現時点では全てのユーザーにリリースされているツールではないため、利用するためには申請フォームから申請し、許可される必要があります

必要な契約

Gemini for AppSheet の利用のためには、特定の AppSheet の有償ライセンス または 特定の Google Workspace 有償エディションが必要です。
2023年7月のアップデートにより、多くのGoogle Workspace エディションに AppSheet Coreライセンスが含まれるようになりました。
対象になる Google Workspace の契約がある場合、新たに AppSheet の有料版の契約をする必要はありません。

参考:Google Workspace Updates – AppSheet Core ライセンスがデフォルトで含まれる Google Workspace エディションの拡大と、管理者向けの新しいセキュリティ設定

対象のライセンス・エディション

AppSheet

  • Core/Enterprise Standard/Enterprise Plus

Google Workspace

  • Business/Standard/Plus
  • Enterprise/Standard/Plus
  • Enterprise Essentials/Plus
  • Frontline Starter/Standard
  • Education Standard

おわりに

ノーコードでアプリ開発ができる AppSheet に Gemini が加わり、今後非エンジニアのアプリ構築のハードルがより一層下がることが予想されます。
アイデアさえあれば、エンジニアでなくても気軽にアプリを作れるようになるのは、エンジニアにとっても非エンジニアにとってもメリットが大きいです。
本格的なリリースが楽しみですね。
Gemini for AppSheet についてご興味がありましたら、TD SYNNEX までご相談ください。

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