VDIとは、デスクトップ仮想化(Virtual Desktop Infrastructure)の略で、サーバー上にあるデスクトップ環境を遠隔地にあるクライアント端末に転送して利用する技術です。クラウドVDIとは、従来のオンプレミス環境上でのVDI構築ではなく、パブリッククラウド上に構築したVDIを指します。
クライアント端末で最小限の処理を行い、プログラムの実行のほとんどをサーバー側で行うシステム構成をシンクライアントと呼びますが、VDIを利用することで、シンクライアント環境を実現することができます。
シンクライアント環境を実現することで、ユーザーの扱う端末にデータが残らず、リモートワーク下においても強力なセキュリティを実現可能です。
引用:Citrix社webサイトより
クラウドPCとは、メーカー側(SaaS提供事業者)が用意したクラウドサービス上のアプリケーションにアクセスする方式で、この方式でもシンクライアント環境を実現することができます。
デスクトップ構成をユーザーごとにカスタマイズするのでなく、メーカー側が準備した環境にアクセスして利用し、カスタマイズを最小限にとどめて用意されたものをそのまま使うのが特徴です。
クラウドVDIとクラウドPCの最大の違いは、カスタマイズ性の有無にあります。クラウドVDIは、オンプレミス環境と同様にデスクトップ構成を個別でカスタマイズをかけることが前提となっていることに対して、クラウドPCは極力カスタマイズを避けるように設計されています。そのため、ユースケースや想定されるユーザーも、その点を基準に分かれます。
カスタマイズを必要とするユーザー向けのため、次のようなユーザーにお勧めです。
カスタマイズをほとんど必要としないユーザー向けのため、次のようなユーザーにお勧めです。
クラウドVDIは、従来のオンプレミスVDI環境とクラウド環境の良さを併せ持ち、
クラウドPCはカスタマイズがほとんどできない代わりに高速な構築が可能です。
従来のオンプレミスVDI | クラウドVDI | クラウドPC (Windows 365の場合) |
|
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投資 | 環境整備に初期投資がかかる | 従来のオンプレミス環境より初期投資が少額 | 初期投資はほとんどかからない |
初期構築 | 環境整備から利用可能になるまで数か月程度の時間が必要 | リソースはクラウド環境を用いるため、従来よりも短期間で構築可能 | すぐに構築可能 |
サイジング | VDI利用者に応じてサイジングが必要 | VDI利用者に応じてサイジングが必要 | Microsoftが用意したパターンから選択できるがサイジングは不可 |
システム更新 | インフラ部分およびソフトウェア部分は必要 | ソフトウェア部分は必要なケースあり | Microsoft側で基本実施 |
運用 | インフラ部分、ソフトウェア部分は必要 | 利用者サポートについては必要 | 利用者サポートについては必要 |
カスタマイズ 自由度 |
自由自在にカスタマイズが可能なため、様々なニーズに対応可能 | VDI部分については自由に設計可能 | Microsoftが用意したパターンから選択するため、ほぼカスタマイズできない |
ユーザー規模 | 大規模システム、大人数のユーザーにも対応可能 | 中~大規模向け | 小規模ユーザー向けで、 大規模ユーザーには向かない |
クラウドVDIは、適度なカスタマイズができることが特徴で、
オンプレミス環境の自由度とクラウド環境の運用の簡便さを併せ持つソリューションになっています。
どの環境が自社に適しているかの判断は、
「カスタマイズ自由度」と「ユーザー規模」の2つが、大きなポイントとなります。
ユーザーが使用する端末にはデータやアプリケーションは保存されず、データはすべてサーバー上に保管されるため、ユーザーは使用する端末を選ぶ必要がなくなります。これにより、ユーザーは仕事で使うデスクトップ環境をどこからでも利用できるようになります。
端末へデータを保存することができないため、機密情報の持ち出しや盗難時の情報漏洩を防止できます。また、コンピューターウィルスの侵入に際しても被害の極小化と素早い対応が可能になります。
各拠点に物理的に分散されたパソコンを1台ずつ管理する必要がなくなるため、遠隔地も含めた端末に対するパッチ適用やセキュリティアップデート適用が可能となり、運用負荷を大幅に低減することができます。
デスクトップとアプリケーションをデータ センターで集中管理できるため、デスクトップの展開、セキュリティ制御、ソフトウェアの更新に必要なコストを軽減できます。
Microsoftが提供する「Azure Virtual Desktop」は、一定のカスタマイズを実施したいお客様向けのソリューションです。VDIの構築経験などエンジニアの方による管理が必要となり、運用面から考えると小規模数のユーザーでCADや画像処理などのGPUワークロードを利用するような企業におすすめです。
Microsoftが提供する「Windows 365 」はMicrosoftが提供するクラウド型のSaaSサービスです。カスタマイズを極力避けて標準化された環境で容易な運用・展開を目的としています。BusinessとEnterprise の2つのエディションから構成され、ユーザー数やカスタマイズの可否によって選択します。オンプレのActive Directoryとの連携を希望するお客様はEnterprise エディションが必要になります。
クラウドVDIとクラウドPCのどちらが自社に適しているのか、
ソリューションを選ぶ際に大切なのは次の3つです。
最も大事なポイントは、自社の業務や規模を考慮することです。合計ユーザー数はもちろん、一か所に固まっての事務ワークが中心の会社なのか、本社と支店・支社に別れ複数の拠点で業務を行っているのか、PCで行っている業務が事務ワーク以外もあるのか(大量の計算能力を活用するHPC領域や設計等を行うCADの領域等の業務があるか)、社内の情報システム部門の運用面などを踏まえた検討が必要です。
購入したPCをそのまま使えるような業務であれば、Windows 365 Businessで対応が可能ですが、次のようなケースではWindows 365 Enterprise や AVDの検討が必要になります。
意外に見落としてしまいがちなポイントは、「ライセンスおよびサービスの調達方法」です。 Windows 365 Business の場合はWebサイトからクレジットカードで購入することも可能ですが、既存の購入先がすでにあり、Officeのライセンスの購入を行っている場合や、EA(Enterprise Agreement)と呼ばれる包括契約を締結している場合は、その経路でライセンスの購入を行ったほうが有利な場合があります。
他方、既存の購入先が十分な技術支援能力を持っていれば、その経路から購入するのがベストな選択ですが、十分な技術支援を提供できる見込みがない場合、この機会にライセンスの購入先を変更することも検討に入れる必要があります。
以下の当てはまる項目をクリックしていくと、
自社状況に適したクラウドVDI・クラウドPCソリューションを知ることができます。
自社の用途やユーザー数をもとに、コストと技術のバランスが取れた最適な環境を構築しましょう。
クラウドVDI・クラウドPCの月額コストについて、考え方のポイントを整理します。
クラウドサービスとオンプレミス環境を比較する場合、
運用及び保守費用が比較の際に漏れてしまう傾向があるため、
正しく費用項目として同じとなるように注意が必要です。
PC端末含めて、1台当たりのコストには共通で持つ設備や回線の利用料、クラウドサービスの利用料を含めるようにします。
自社のオンプレミス環境との比較を行う際、自社環境では普段加算されないことが多い、運用に関する費用やデータセンターの費用もきちんと試算し、オンプレミス環境に加算を行うようにします。
単純な1台当たりの単価で比較するのではなく、FATPCの運用にかかる費用(ヘルプデスク対応やパッチ適用のメンテナンス作業費用)もきちんと盛り込むようにします。
TD SYNNEXでは、お客様の課題に沿ったVDIソリューションをご提案させていただきます。
クラウドVDI・クラウドPCの選択にお悩みの際は、ぜひ以下のボタンからお問い合わせください。