生産性向上

大規模沖合養殖システムに Azure Managed Service を採用24時間365日監視の負担軽減と運用コストの削減を実現

導入企業

日鉄エンジニアリング株式会社

1974 年に新日鉄(現日本製鉄株式会社)のエンジニアリング部門としてスタート。環境・エネルギー施設、都市インフラなどの建設事業を柱とし、日本国内のみならず東南アジア、インドなどに活動拠点を拡げ、エネルギー業界、鉄鋼業界、各国の政府・自治体のニーズに応えてグローバルに事業を展開する

導入プロダクト

Azure Managed Service

環境・エネルギー施設・都市インフラなどの分野で事業を展開する日鉄エンジニアリング株式会社は、新規事業創出プロジェクトのひとつとして「大規模沖合養殖システム」を開発。その中核となる生産管理システムの常時監視体制を強化するための施策として、お客さまのリソースやサービスの価値を継続的に高めることを目的とした Microsoft Azure の保守・運用監視マネージドサービス「Azure Managed Service」を導入。Azure 基盤の24 時間365 日監視をグローバルディストリビュータとして運用監視が展開できるTD SYNNEXの専門家にアウトソースすることで、担当者の負担削減と運用コストの大幅抑制が可能になると期待されている。

目次

大規模沖合養殖システムの導入が増え常時監視体制の強化が課題

日鉄エンジニアリングは、2006年(平成18年)7月1日に新日本製鐵(現日本製鉄株式会社)から分社独立し、鉄をつくる技術や活かす技術で培ったエンジニアリングのノウハウで、環境・エネルギー施設、都市インフラ、製鉄プラントの建設事業を展開している。特に、難度の高い大空間の鋼構造(構造用鋼で組み上げた構造物)の建設技術では他を卓抜しているほか、先駆的にPFI(公共施設の設計・建設・維持管理・運営を民間主導で行うビジネスモデル)事業にも取り組むなど、新しい取り組みのパイオニアとして業界をリードする。

同社が新規事業創出の目玉として近年取り組んでいるのが、海洋資源開発設備建設のノウハウを応用した「大規模沖合養殖システム」だ。旧来の養殖事業が抱えていた問題をエンジニアリング技術で解決し、養殖地の拡大や生産性の上、作業負荷の低減を実現するものとして注目されている。大規模沖合養殖システムは、沖合数㎞に設置する「大型生簀システム」、負担の多い給餌作業を自動化・省力化する「自動給餌システム」、給餌の時間・速度・量を最適化して餌の削減と成長速度向上を図る「生産管理システム」の3 つで構成されている。

日鉄エンジニアリングの宮﨑 晴基氏は、「自動給餌システムと生産管理システムを連携することで、給餌作業の高度な自動化と最適化を実現し、生産にかかる様々なコストの削減、ムリ・ムラ・ムダのない生産性の安定や収益性の向上が期待できます。また、陸上設備からの餌搬送により給餌船が不要になれば、天候不順時の出船リスクやCO2の発生を抑制するほか、水中カメラやAI 技術を活用することで残餌も減り、海洋汚染の防止にも貢献します」と説明する。

その生産管理システムの運用・管理においては、給餌を最適化してFCR(飼料効率)の改善と成長速度向上を両立させなければならず、24時間365日の監視作業が不可欠となる。運用基盤は Microsoft 社のソリューション活用に精通したパーソルクロステクノロジー株式会社が支援に入り Microsoft Azure 上に開発・構築したが、緊急時に対応する監視作業は日鉄エンジニアリング側で行う。宮﨑氏は「現在国内の数カ所にまで大規模沖合養殖システムの導入が増えており、常時監視体制の強化が喫緊の課題でしたが、人件費や人材確保の面でその実現が難しくなっていました。何か良い打開策はないかと検討していたところ、2024 年3 月のある展示会でTD SYNNEXと出会い、Azure Managed Service の存在を知ったのです」と振り返る。TD SYNNEXでは販売店を通さずに企業が直接顧客に対応するハイタッチセールス部門があり、顧客の課題やニーズにあわせて販売店を紹介することも可能となっている。

低コスト・24 時間365 日随時サポート・最適化アドバイスが決め手

一般には、Azure 上に構築された生産管理システムの監視レベルやサービスレベルを上げるための方策はあるものの、それらの多くは長期的にビジネスを持続させる上でコスト負担が大きな障害となっていた。Azure Managed Service は、かかるコストが月額2万円からのサブスクリプション契約が可能で、想定よりも格段に低かったことが注目ポイントだった。また、アジア太平洋地域の専門エンジニアと日本のプロジェクトマネージャーによる24時間365日の随時サポートが日本語で受けられることや、定期的なリスク評価と最適化アドバイスにより生産管理システムを最良の状態に維持できることも他のサービスより優位性があったという。宮﨑氏は「他のサービスと比較しても Azure Managed Service が圧倒的に高品質・低価格だった上に、TD SYNNEX日本拠点スタッフもブリッジサポートとして入ってくれるので心強く、他に選択肢はないと確信しました」と打ち明ける。

そうした判断により、2024年8月に Azure Managed Service の採用を正式決定した。ただし、同サービスを活用するには、Azure 上の生産管理システム環境を既存の Microsoft Enterprise Agreement(EA)契約形態から、Cloud Solution Provide(CSP)契約に乗り換える必要があった。「EAから CSP への乗り換えは簡単ではありませんでしたが、開発パートナーであるパーソルクロステクノロジーにサポートいただくことで問題なく対応できました。また、TD SYNNEXも事前に当社の Azure 環境をテストし、移行可能な部分と再構築が必要な部分を抽出した上で、移行に向けた手順書を作っていただいたことがベストプラクティスとなり、計画通り移行を完了できました」と宮﨑氏は経緯を説明する。

今後の展望と期待すること

大規模沖合養殖システムの生産管理システムは、2025年1月から Azure Managed Service と CSP サービスサポートを併用する形で監視作業が開始された。運用にあたっては、日鉄エンジニアリングとTD SYNNEXの間で、“どのリソースに”“どのようなアラートが”“どのような頻度・時間に起きたら”“誰が”“どのようなアクションを取るか”などを取り決めた「Runbook」で明確化しているほか、月次レビュー、四半期ごとのクラウド環境リスク評価、残リソース状況報告なども提供される予定だ。

宮﨑氏は、「従来はできなかった可能性のある範囲・時間帯も監視できるようになったため、社内への説明責任も果たせるようにもなりました。24時間365日監視するという精神的な負担が大幅に軽減され、万一問題が発生したとしても、どのように対処すべきかすぐに判断できるようになったのは大きな安心につながっています」と評価する。監視チームを社内で構成することを想定した場合と比べても、運用コストは大幅に抑制できている可能性があり、今後投資対効果やROIを回収していくという。「Azure Managed Service の活用により生産管理システムに戦略的なコスト設定も可能になるため、大規模沖合養殖ビジネスを更に拡大する可能性があると考えています」と宮﨑氏は期待する。

また、今回のプロジェクトにおけるパーソルクロステクノロジーの対応も高く評価する。「EAから CSP への切り換え時も手順書を準備し、いつも迅速に対応いただけたのでトラブルもなくスムーズに移行完了できました」と宮﨑氏は話す。パーソルクロステクノロジーの反町 悠希氏も、「生産管理システムを構築しはじめてから4 年ほど経過し、環境がどうあるべきかの知見は豊富に蓄積しています。今後もそれを余すことなく活用することで、日鉄エンジニアリング様のビジネスに更なる付加価値を提供できるよう、SIの側面で支援し続けてまいります」と述べる。

それを受け、TD SYNNEXの新堀 慶亮も、「今回の成功例は、日鉄エンジニアリング様の迅速かつ柔軟な意思決定力、パーソルクロステクノロジー様の優れたSI 力、そして当社TD SYNNEXが持つ Microsoft 社との強固なリレーションシップと、グローバルディストリビュータとして Azure 運用監視を可能とする強みが相互に補完し合った結果だと考えております」と分析する。

他の事業におけるAzure 環境の管理にも並行活用する可能性を視野に入れて

日鉄エンジニアリングでは今後、Azure Managed Service の定期レビューを基に、TD SYNNEXとディスカッションを重ねながら監視内容の分析を行うことで、これまで気付かなかった点や重要ポイントを洗い出し、複数の視点から知見を積み重ねていく考えだ。また、同社には他の事業部門でも Azure 上の環境を24時間365日管理する必要のあるビジネスが存在するため、今後その事業に Azure Managed Service を活用することも視野に入れているという。

今回のプロジェクトを経て、宮﨑氏は、「当社のように Azure の管理業務に課題を抱えている場合は、まずTD SYNNEXに相談し Azure Managed Service を試してみてはいかがでしょうか。想定したよりも導入までのフローはシンプルで、コスト負担も少ないため、ビジネスプロセスのアウトソースにチャレンジしてみる価値は大いにあります」と提案する。

その期待に応えられるよう、TD SYNNEXは今後も日鉄エンジニアリングの革新的なビジネスに対し、日本市場で培った見識とグローバルネットワークを活かして伴走支援を強化し続けていくつもりだ。

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