担当者の経験と勘に頼っていた配送管理業務をクラウドで標準化・効率化

導入企業

株式会社日本ケアサプライ

株式会社日本ケアサプライは、介護事業者向け福祉用具レンタル卸・販売サービスを展開。「高齢者の生活支援企業」として、高齢社会のニーズに応え、品質第一の最適なサービスを提供している。

導入プロダクト

Microsoft Azure

介護事業者向けに介護用品のレンタル卸・販売サービスを展開する日本ケアサプライは、介護用品の配送管理業務を効率化するために新たにシステムを構築。その開発を独自の開発プラットフォーム「SAAP」を擁するA-ZiP に委託し、Microsoft Azure を基盤とする配送管理システムを新たに実現したことで、業務の効率および品質の底上げと個人情報漏えいリスクの低減を同時に達成した。

目次

介護用品の配送業務の効率化が喫緊の課題に

東京都港区に本社を置く株式会社日本ケアサプライ(以下、日本ケアサプライ)は、全国の介護事業者向けに介護用品のレンタル卸・販売サービスを展開する企業。

杖や車椅子、介護ベッドといった介護用品は、要介護者の容態の変化に伴い需要も変わっていくため、必要になるたびに新たに購入していてはコスト負担が膨らんでしまう。その点レンタルサービスはコストを抑えつつ利便性も高いため、要介護者やその家族にとってメリットが大きい。現在では数多くの事業者がこうしたサービスを提供しているが、中でも日本ケアサプライはその先駆けとしていち早く全国にサービスを展開し、市場をリードしてきた。

同社のビジネスモデルは、介護ショップに対して同社が保有する介護用品を貸し出し、介護ショップがさらにそれをエンドユーザーに対してレンタルするという仕組みになっている。エンドユーザー側のニーズが変わり、別の介護用品が必要になった場合には、それまでレンタルしていた用品を回収して新たなものを貸し出す。

このように介護用品の貸し出しと回収のために頻繁にモノを運ぶ必要があるため、同社のビジネスモデルにおいて配送業務は極めて大きなウェイトを占める。その一方で、近年の人手不足によりトラックドライバーの新規確保は難しく、何らかの対策を打つ必要性にも迫られていたという。

「介護用品の配送を担当するドライバー不足を補うには、現在の配送業務をより効率化する必要がありました。さらに配送担当者は配送先に関する情報を紙に印刷して持ち運んでいたのですが、ごく稀に紙を紛失したり、カバンや車両ごと盗まれるような事件も起こっており、個人情報保護の観点からも何らかの対策が必要でした」

こう語るのは、日本ケアサプライ 情報システム部 執行役員 CIO 兼 部長 渡辺 実氏。同社はもともと全社方針として、ITの積極活用により業務の効率および品質を向上させる取り組みに長年取り組んでおり、配送にまつわるこれらの課題についても業務のシステム化とペーパーレス化による解決を模索することになった。

唯一RFP の要件をすべて満たしていたA-ZiP に開発作業を委託

それまで同社の配送作業のスケジュール調整は、各営業所の担当者が手作業で行っていた。基幹システムから入手した配送情報(配送商品、配送日時、配送先の住所など)を基に、担当者が車両やドライバーなどの稼働状況を加味しながらホワイトボードに作業スケジュールを直接書き込んだり、付箋紙を貼ったりといった「マニュアル作業」にもっぱら頼っていた。

そこでこれらの作業をシステム化し、これまで各担当者の経験と勘に頼っていた配送管理業務を標準化することで担当者間のスキルの差を埋め、全社レベルで配送業務の効率化と品質向上を図ることになった。

早速情報システム部を中心に、配送管理システムの開発を委託するベンダーの選定作業を始めた。配送管理や配車管理、予定管理などのシステム開発の実績があるベンダーを複数ピックアップした上で、同社の要件をまとめたRFP を送付して提案を募った。

その結果最終的に同社が開発パートナーとして選んだのが、株式会社A-ZiP(以下、A-ZiP)だった。同社を選定した理由について、渡辺氏は次のように説明する。

「A-ZiP さんのサイトに公開されていた配車管理システムの開発事例を拝見して、弊社のニーズに合致するのではないかと考え、お声がけさせていただきました。RFP の回答内容を確認したところ、他社の回答はどれも何かしら引っ掛かるところがあったのですが、A-ZiPさんの回答は唯一弊社の要件をすべてクリアしていたため、最終的にお願いすることになりました

開発プラットフォーム「SAAP」のメリットを最大限に発揮

配送管理システムの開発プロジェクトは、まず各営業所で行われている「ホワイトボードを使った配送管理業務」の詳しい内容を担当者からヒアリングし、次にこれを極力そのままシステム上で再現するための設計作業へと進んでいった。この過程において大きな威力を発揮したのが、A-ZiP 独自の開発プラットフォーム「SAAP」を使ったプロトタイピングだった。

A-ZiP システム開発部 システム開発課 課長 飛田章吾氏は、SAAP を使ったシステム開発の強みについて次のように述べる。

「SAAP を使った開発では、要件定義後すぐに実際に動くプロトタイプをお客様に確認していただけます。日本ケアサプライ様のプロジェクトでも早期にプロトタイプをお客さまにご確認いただき、仕様の理解に関する齟齬が発生するリスクを回避することで、スムーズにプロジェクトを進行できました

また配送情報や顧客情報を管理するバックエンドのデータベースには、マイクロソフトが運営するクラウドサービス「Microsoft Azure」上で稼働する「Azure SQL Database」を採用した。A-ZiP はもともと Microsoft Access を使った業務アプリケーション開発に強みを持つこともあり、クラウド基盤についても長らく Microsoft Azure を採用してきた。加えて、Microsoft Azure のライセンスをTD SYNNEXから購入することで、これまでさまざまなメリットを享受してきたという。

「当初はマイクロソフトから直接購入していたのですが、マイクロソフト日本法人の紹介でTD SYNNEXさんから Microsoft Azure を購入するようになったことで、極めて充実したサポートを受けられるようになりました。Azure が登場して間もないころはまだ日本語の技術情報も少なかったのですが、TD SYNNEXの Azure 担当の方がマイクロソフトの担当者も顔負けの高いスキルの持ち主で、日本語で丁寧にサポートいただけたおかげで随分助かりました」(飛田氏)

今後も継続的にシステムのアップデートを続けていく

約1年間の開発期間の後、新しい配送管理システムは無事本番稼働を開始した。これまで各営業所の担当者の経験と勘に頼っていた配送管理作業が、このシステムの導入によって標準化されたことで、業務品質の平準化や底上げが実現できたと渡辺氏は語る。

「それまでは営業所間で担当者が異動になった場合、新たな職場での業務ルールをまた1から学び直す必要があったのですが、システム化によって配送管理業務のプロセスが全社で標準化されたことで、そのような無駄な作業が不要になりました」

また配送ドライバーが持ち歩くスマートフォンから直接インターネット経由でシステムにアクセスし、配送情報を直接参照できるようになったことで、配送情報を記した紙の帳票を持ち歩く必要がなくなり、かつての悩みの種の1つだった「個人情報漏えいのリスク」も一掃できたという。

ただし同氏は、「これらの導入効果だけで満足しているわけではない」とも話す。日本ケアサプライではIT活用による業務改善活動を定常的に行っており、今回実現した配送管理システムについても「一度導入したら終わり」ではなく、より高い導入効果を求めて今後も適宜機能強化や改修を続けていく予定だという。

「リリースしてから既にかなり手を加えていますし、将来的には最適な配送ルートや人員配置を提案してくれる機能などもぜひ実現したいと考えています。そのためにもA-ZiP さんには今後、弊社とのより密接なパートナーシップ関係の下で、弊社のIT施策を長期的かつ包括的にご支援いただければと考えています」(渡辺氏)

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