生産性向上

「Azure Backup 」でファイルサーバの可用性と安全性を大幅に向上させたTD SYNNEX

導入企業

TD SYNNEX 株式会社

TD SYNNEX では、自社内で運用するファイルサーバの可用性を高めるとともに、ランサムウェア対策をより強化するために、Azure Backup を使ったクラウドバックアップの仕組みを導入。自社の業務システムの可用性や安全性を大幅に強化するとともに、自社運用で培ったノウハウをユーザーやパートナー企業に還元すべく、Azure Backup を活用したクラウドファイルサーバのパッケージソリューションの提供も始めた。

導入プロダクト

Microsoft Azure

マイクロソフトが提供するパブリッククラウドサービス。世界有数の規模を持つ クラウドサービスであると同時に、Microsoft 365 をはじめとするマイクロソフ トの各種製品・サービスと高い親和性を備え、かつ高度なセキュリティ機能を数多く内包することでも広く知られる。

目次

ファイルサーバのバックアップに課題を残していたTD SYNNEX

 TD SYNNEX 株式会社(以下、TD SYNNEX)では、日々の業務を遂行するために数多くの業務システムを利用しており、それらが稼働するサーバその他のIT 機器は国内のデータセンター内で厳重な管理のもとに用されている。それらの中でも業務の中枢を担う基幹システムに関しては、米国本社の運用ポリシーのもとに米国にあるデータセンターに遠隔バックアップをとっており、高い可用性を確保している。

 一方それ以外の情報システムやファイルサーバ等に関しては、同じデータセンター内に設置したバックアップシステム内にバックアップを取得している。具体的には、仮想化基盤のイメージバックアップ機能を用いて仮想サーバのバックアップを取得したり、WindowsServer が備えるシャドウコピー機能を用いてファイルサーバのファイルのスナップショットを取得していた。

 ユーザーが誤ってファイルを削除してしまった際のファイルの復旧など、平時のバックアップ運用に関してはこうした方式で十分対応できていたものの、TDSYNNEX アドバンスドソリューション部門 ソリューションビジネス開発本部 ハイブリッドマルチクラウドSE 部 小林充幸によれば、幾つかの点で課題も残っていたという。

 「災害対策のためには、やはり同じデータセンター内だけではなく遠隔地にバックアップをとっておく必要があります。そして何より、近年多くの企業が被害に遭っているランサムウェアへの対策という面で不安が残っていました。スナップショットで復旧できるデータはせいぜい1 週間前までしか遡れないため、その時点で既にランサムウェアに感染していた場合はバックアップから感染前の状態にシステムを復旧できません」

クラウドネイティブのバックアップサービス「Azure Backup 」を採用

 そこでこうした課題を解決するために、新たにクラウド環境上に遠隔バックアップをとることにした。これによって災害や障害でオンプレミスのデータセンターが利用できなくなるケースに備えるとともに、クラウド環境上で長期に渡って世代管理されたバックアップデータを保持しておくことで、ランサムウェアに感染した際に感染前の取得したバックアップまで遡ってデータを復旧できるようになる。

 TD SYNNEX ではもともと Microsoft Azure のライセンスを長らく販売してきたこともあり、クラウド環境として Microsoft Azure を採用するところまではすんなり決まった。

しかし実際にバックアップを取得する方式にはさまざまなものがあり、それらを比較検討して自社のニーズに最も適したものを選ぶ必要があった。

 当初はIaaS 環境上にバックアップ用のサーバインスタンスを立て、そこにバックアップソフトウェア製品を導入する方式も検討した。しかし小林によれば、「バックアップ運用の属人化」を避けるためにこうした方式は避けたいと考えていたという。

 「かつて弊社ではオンプレミス型のバックアップ製品を利用していましたが、操作が複雑で私しか扱えないものもありました。このようにバックアップ運用が属人化してしまうと、いざという時に迅速に対応できなくなるため、誰でも簡単に利用できる製品が望ましいと考えていました」

 そこで白羽の矢を立てたのが、Microsoft Azure のマネージドサービス「Azure Backup 」だった。Windows Server とほぼ同じ使い勝手でバックアップの設定や運用ができるため、バックアップ製品に関する高度な専門知識を習得する必要がなく、情報システム部門のメンバーなら誰でも使いこなせるのではないかと考えた。

属人性を完全に排除したクラウドバックアップ運用を実現

 まずは試験的に、ファイルサーバ1 台を対象に Azure Backup を使ったクラウドバックアップの環境を構築し、処理時間などの検証を行った、その結果、性能や使い勝手などの要件が十分満たされることが確認できたため、徐々に他のファイルサーバに適用していった。その結果、最終的には社内に10 台強あるすべてのファイルサーバに Azure Backup を適用することになった。

 なおスナップショットを使ったローカルバックアップの仕組みも引き続き運用しており、誤って削除したファイルの復旧などは以前と変わらずこちらを利用している。しかし新たに Azure Backup を使ったクラウドバックアップを導入したことで、災害対策の観点から見た可用性が大きく向上したとともに、ランサムウェアへの備えも大幅に強化された。

 さらには、万が一の災害やランサムウェア感染の際にバックアップデータをリストアする際、操作性に優れる Azure Backup なら特定のエンジニアだけでなく情報システム部門のあらゆるメンバーが対応できるため、バックアップ運用の属人化の問題を完全に排除できたと小林は話す。

 「弊社では平時からバックアップデータのリストアのテストを行っていますが、リストアの作業はそう頻繁に行うものではありませんから、細かな操作方法はどうしても忘れてしまいがちです。しかし Azure Backup の操作性は普段使い慣れている Windows Server のものとほぼ同じですから、有事においてたとえ細かな操作方法をすべて覚えていなくても戸惑うことなく操作できます」

Azure Backup を使ったクラウドファイルサーバのパッケージソリューション

 これ以降、TD SYNNEX では約5年間に渡りAzure Backup を使ったファイルサーバのバックアップを運用してきたが、現在ではそれだけでなくこれまでの運用を通じて蓄積してきたノウハウをユーザーやパートナー企業に還元すべく、MicrosoftAzure 上の可用性の高いクラウドファイルサーバ環境一式を提供するパッケージソリューションを提供している。これはMicrosoft Azure 上にクラウドのファイルサーバ環境を構築した上で、さらにAzure Backup を使ったバックアップの仕組みを組み合わせて提供するというもの。あらかじめ容量やスペック、構築の内容は選定済みで、顧客はカタログショッピングのように選んでいくだけとなる。

必要な製品・サービスの導入から設定、運用に至るまでのすべてをTD SYNNEX が一手に担うため、ユーザーはたとえクラウドやバックアップに関する予備知識が一切なくとも安心・安全なクラウドファイルサーバ環境を手に入れることができる。(左図)

 TD SYNNEX アドバンスドソリューション部門 マルチクラウドPM 本部 マイクロソフトクラウドソリューション部 吉田悠馬は、このパッケージソリューションの提供を始めた目的について次のように述べる。

 「社内にクラウドエンジニアがいないユーザー様や販売店様にとって、クラウドは未だ導入ハードルが高いととらえられています。そこで弊社がクラウド利用に必要なものすべてをパッケージ化して、さらには月々の利用料金もあらかじめ明確化した上で安心して使っていただくためにこのソリューションの提供を始めました」

 今後もこうしたソリューションの提供を通じて、「より多くのユーザーやパートナー企業にクラウドを身近に感じてもらうとともに、その導入メリットをぜひ享受してもらいたい」と吉田は今後の豊富を力強く語る。

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