ChatGPT は、OpenAI が開発した対話型生成AI(ジェネレーティブAI)です。
初代は2022年11月に登場し、2ヶ月間で月間ユーザー数が1億人を突破するほど急速に普及しました。
現在は多くの機能を備えた進化系として、プロフェッショナルやクリエイターにも広く利用されています。

本記事では、数ある生成AIサービスの中でも人気が高い ChatGPT について、利用開始の手順、使い方や利用にあたっての注意点などをわかりやすくお伝えします。

ChatGPT とは?

まずは ChatGPT と生成AIというキーワードについて、あらためて確認しておきましょう。

生成AIとは

生成AIとはAI(人工知能)の一種で、自動的にテキスト、画像、音楽、ビデオなどのコンテンツを生み出す技術です。
AIが自ら答えを探して学習する「ディープラーニング(深層学習)」を用いて構築された機械学習モデルで、学習したデータをもとにして新しい成果物を生成します。
ChatGPT のようなテキスト生成のほかに、画像生成、音声・音楽生成、動画生成などのサービスも登場しています。

ChatGPT の概要

ChatGPT は米 OpenAI 社の提供するチャット型の生成AIサービスです。
OpenAI 社は、サム・アルトマン、イーロン・マスクらによってAIを研究するための組織として2015年12月に創設されました。

ChatGPT は、OpenAI が開発した「GPT」と呼ばれる大規模言語モデル(LLM)を基盤としています。
サービス開始時は GPT-3.5 系列を利用していましたが、その後 GPT-4 や GPT-4o(マルチモーダル対応)が登場し、利用範囲が大きく広がりました。

さらに 2025年8月には最新モデル GPT-5 が公開され、より高度な推論能力や長文処理、自律的なタスク実行などが可能になっており、ChatGPT の標準モデルとして、多くのユーザーに提供されています。

ChatGPT には無料プランと有料プランがあり、有料プラン(ChatGPT Plus や Pro)では最新モデル(GPT-4o や GPT-5)や追加機能(長文処理、ファイル解析、カスタムエージェント機能など)を利用できます。
そのため、用途やニーズに応じて最適なプランを選択することが可能です。

ChatGPT の人気拡大の背景

ChatGPT が急速に注目を集め、利用が拡大した理由としては以下の点が挙げられます。

利用ハードルの低さ

AI 技術は以前から存在し、継続的に発展してきた分野です。
しかし従来のAIは専用プログラムを使用する必要があり、技術者以外には利用が難しく、さらに高度な計算処理が求められるため、利用コストも高いという課題がありました。

一方で ChatGPT は、利用するためのコストの問題をクリアし、誰でも簡単に利用しやすいインターフェイスになっていることなどが、利用者が増加している理由と考えられます。

幅広い用途に対応できる柔軟性

これまでのAIは特化型と呼ばれる特定の条件下で利用する前提のものが主流でした。
しかし、近年の生成AIでは ChatGPT をはじめとして質問応答、文章生成、要約、翻訳、コード作成など、さまざまな用途に向けて利用できる柔軟性の高いAIが登場しています。

生成AIはテキストなどの入力に対してデジタルデータを出力するサービスです。この入力には柔軟な選択肢があり、その入力に対して出力内容も様々に変化します。
従来の決まったことにしか利用できないAIと比べ、生成AIは用途が限られず汎用性が高まった柔軟なAIといえます。

高い利便性と日本語対応

チャット形式で自然にやり取りできる点も人気拡大の理由のひとつです。
業務で発生する課題解決や資料作成の補助などに活用できるほか、日本語を含む多言語に対応しているため、日本国内でも利用が急速に広がりました。

さらに2023年以降は、モバイルアプリや音声入力などの機能も追加され、利便性は一層向上しています。

ChatGPT を使ってできること


ChatGPT でできることを紹介しましょう。

質問に回答する

ChatGPT の質問入力欄(プロンプト)よりテキストで質問をし、回答を得ることができます。しかし、回答に含まれる情報は最新ではない場合や誤っていることもあります。

<入力文>
東京スカイツリーは何メートルですか?

<ChatGPT の回答>
東京スカイツリーの高さは634メートルです。これは2012年に完成した世界最高の自立式塔として知られています。

アイデアを提供する

ChatGPT にアイデアを出してもらうこともできます。アイデアが必要なテーマを入力すると回答してくれます。

<入力文>
新しく作るIT企業の社名を考えてください。

<ChatGPT の回答>
もちろんです。いくつかのアイデアを提供しますが、お好みやビジネスの方向性に応じて調整してください。

  1. デジタルフューチャーズ (Digital Futures)
  2. ネクストウェーブ・テック (NextWave Tech)
  3. イノベイティブ・コア (Innovative Core)
  4. クリエイティブ・ネクサス (Creative Nexus)
  5. テクノロジー・パルス (Technology Pulse)
  6. ビジョンエッジ・テック (VisionEdge Tech)
  7. ブリリアント・ビットズ (Brilliant Bits)
  8. フューチャーソリューションズ (Future Solutions)
  9. デジタルディレクト (Digital Direct)
  10. テック・イノベーションズ (Tech Innovations)

これらの名前は、先進性や革新性を強調するものですが、ご自身のビジョンやアプローチによって適したものを選んでください。

文章を作成する

「○○さんに会ったお礼の手紙を書いてください」「○○を行った報告書を作成してください」とテーマを入力すると、それに合った文章を作成します。

文章を要約する

文章を作り出す以外に、文章の要約を行うこともできます。

表を作成する

ChatGPT で表の作成もできますが、テキストでの表記になります。

<ChatGPT の表示例>
以下は、縦2列、横5行の表です:
| 列1 | 列2 |
|—–|—–|
| 行1 | 行1 |
| 行2 | 行2 |
| 行3 | 行3 |
| 行4 | 行4 |
| 行5 | 行5 |

翻訳をする

文章の翻訳にも利用できます。

<入力文>
「今日は晴れ時々曇りでしょう」を英語に翻訳してください。

<ChatGPT の回答>
“Today will be partly cloudy with occasional sunshine.”

ChatGPT が不得意な質問もある

ChatGPT は多用途で便利な生成AIですが、すべての質問に正確に答えられるわけではありません。
機械学習モデルの特性や学習データの制約により、苦手な分野があります。
代表的な例は以下の通りです。

高度な専門知識を必要とする質問

医学・法律・科学など、専門的かつ正確な判断が求められる内容では、誤答や不正確な回答が出ることがあります。

長文や複雑な文書の処理

非常に長い文章や複雑な構造の文書では、理解が不十分になる場合があります。
GPT-5 では最大256Kトークンまで対応していますが、内容によっては処理が難しくなることがあります。

最新情報の取り扱い

ChatGPT は学習時点までの情報をもとに回答します。
外部サービスやニュースなど、学習後に発生した出来事や更新情報は反映されない場合があります。

ChatGPT の始め方

ChatGPT を使い始めるには、アカウントの作成が必要です。以下、簡単に説明します。

アカウント作成

1. OpenAI 社のChatGPT のURLにアクセスし、「Sign up」からアカウントを作成しましょう。
URL:https://chat.openai.com/auth/login

メールアドレスやGoogleアカウントなどを利用することができます。本記事では、Googleアカウントを利用しました。

2. Continueをクリックして処理を続行します。

3. アカウント名と誕生日を設定して、Agreeをクリックします。

4. 注意事項を確認して、問題がない場合は「Okay, let’s go」から利用開始します。

Webブラウザからの利用

アカウント作成後は、Web版を利用することができます。
画面下部の「Message ChatGPT…」と表示されている入力欄から質問を入力しましょう。

スマホアプリからの利用

スマホアプリ版を利用したい場合には、アプリのダウンロードとインストールが必要です。
Android版iOS版が提供されています。

APIの利用

大量の質問や他のアプリケーションから ChatGPT を利用したい場合は、従量課金のサービスとして提供されているAPIを活用できます。

▼ChatGPT API について、詳しくは以下の記事をご覧ください。

ChatGPT の無料プランと ChatGPT Plus との違い

ChatGPT は無料で利用できますが、有料プランに加入することで、より高速で高度な機能を利用することが可能です。

※下記は2025年08月27日時点の情報です。詳しくは ChatGPT のPricingなどをご確認ください。

利用できる言語モデル(バージョン)

無料プランでは GPT-4o(制限付き)または GPT-3.5 のモデルを利用できます。
より高度な処理やマルチモーダル機能(画像・音声対応)、ファイル解析などを利用する場合には、有料のプランの ChatGPT Plus 以上への契約が必要です。

有料プランには Plus、Pro、Team、Enterprise があり、それぞれ利用可能な機能や制限が異なります。

名称利用料金(月額)サービスの特徴
Free無料・GPT‑5 への制限付きアクセス
・検索によるウェブからのリアルタイムデータ
・ファイルのアップロード、音声、画像ツールを試用(制限あり)
・macOS のデスクトップアプリでコードを編集
・カスタム GPT の利用 など
Plus$20 / 月・無料版の全機能に加え、制限の引き上げ
・動画と画面共有が可能な音声モード
・deep research と複数のリーズニングモデルへのアクセス
・プロジェクト、タスク、カスタム GPT の作成と使用 など
Pro$200 / 月・Plusの全機能に加え、制限のさらなる引き上げ
・動画と画面共有が可能な音声モード
・deep research と複数のリーズニングモデルへのアクセス
・プロジェクト、タスク、カスタム GPT の作成と使用 など
Team$25
(年払いの場合)
・Plusの全機能に加え、無制限のGPT-5メッセージ、GPT-5 thinkingへの豊富なアクセスとGPT-5 Proへのアクセス
・組織内ナレッジへの接続
・必須の管理者コントロール、SAML SSO、MFA を備えた安全な専用ワークスペース
・GDPR、CCPA、その他の個人情報保護法への対応をサポート
・データ分析、記録モード、プロジェクト、カスタムGPTなどのビジネスに役立つ機能
・保存時と転送中の暗号化、デフォルトではビジネスデータを学習に使用しない など
スタートアップ企業と成長中のチーム向け
Enterprise要問い合わせ・Teamの全機能に加え、より長い入力やより大型のファイルをサポートする拡張コンテキストウィンドウなど、
主に企業利用を想定している

文字数の制限

ChatGPT には入力可能な文字数に制限があります。
日本語での入力の場合、無料プランでは概ね 8,000 文字程度が目安です。

また、連続した問い合わせで記憶しておくことのできるデータの容量(Context window)にも制限があり、Freeの場合には8K、Plus・Teamでは32K、Enterpriseは128Kのトークン(AIがテキストを把握する単位)までが利用可能です。

※1Kトークンは約1,000トークンを表します。

APIの利用について

アプリケーションから ChatGPT へのアクセスを行う場合や、大量の問い合わせを行いたい場合にはAPIを利用することも可能です。
API の料金は使用量や選択する言語モデルに応じて異なるため、詳細は OpenAI の公式サイトで確認してください。

ChatGPT の利用に関する注意点

ChatGPT は非常に利便性の高い生成AIサービスですが、AIによって自動で回答を生成するため、利用時には利用者によるチェックや調整が必要です。
主に以下の点に注意しましょう。

正確性の限界

ChatGPT などの生成AIは、学習データや推論に基づいて最適と思われる回答を生成します。
しかし、学習データの偏りや不完全さにより、正しくない情報を出すことがあります。

また、あたかも事実のように誤情報を生成する現象は「AIの幻覚(Hallucination)」と呼ばれます。GPT‑5などの最新モデルでも、このリスクは完全には解消されていません。

情報セキュリティのリスク

ChatGPT に入力した内容は、契約や設定によって学習に使われる場合があります。
そのため、個人情報や機密情報を入力すると、意図せず外部に影響する可能性があります。

入力する内容には十分注意し、機密情報の取り扱いは避けることが推奨されます。

著作権関連の注意

生成AIによるアウトプット自体は原則として違法ではありませんが、学習データに第三者の著作物が含まれる場合、生成結果が著作権を侵害する可能性があります。
利用者はアウトプットを精査し、著作権侵害が起こらないよう注意する必要があります。

利用精度の制約

言語や入力文の長さ・複雑さによって、精度や理解度に差が生じることがあります。日本語や他言語では、英語ほど精度が高くない場合があります。

長文や複雑文書の処理には、モデルのトークン制限があることに注意しましょう。

ChatGPT の利用事例

ChatGPT の活用は国内外の企業で広がっており、業務アシストから各種ITサービスへの組み込みまで、さまざまな形で利用されています。
ここでは、ChatGPT の主な利用事例を紹介します。

パナソニックコネクト:業務アシスト向けに ChatGPT をベースとした「ConnectAI」を全社的に活用

ベネッセ:「自由研究おたすけAIβ版」に ChatGPT を組み込んで提供
注目の生成AIを自社プロダクトに導入 子どもの期待に技術で応え続ける | ベネッセのDX戦略

Microsoft:Office製品や Teams、Outlook、Power Platform 上で作業を補助する生成AI「Copilot」として ChatGPT への接続を提供

パーソルプロセス&テクノロジー:会議デジタル化ツール「TIMO Meeting」で、音声文字起こし・要約機能に ChatGPT を利用

IVRy(アイブリー):電話自動応答サービスで、ChatGPT による文字起こし機能を搭載
アイブリー – 0円から使えるAI・IVR電話自動応答

企業で ChatGPT を安全に利用するなら Azure OpenAI Service

企業で ChatGPT を安全に活用する場合、Microsoft 社が提供する Azure OpenAI Service を利用することが一つの選択肢となります。

Azure OpenAI Service は Microsoft が OpenAI と共同開発した法人向けサービスで、クラウドサービス Azure 上で GPT-4o や GPT-5 などの生成AIモデルを利用できます。
Azure OpenAI Service 上で ChatGPT に入力したデータは他者と共有されず、情報漏洩のリスクを低減できます。

企業での利用においてセキュリティは大きな懸念点ですが、Azure OpenAI Service を活用することで、安全かつ安心して ChatGPT を利用できます。

Azure OpenAI Service について、詳しくはこちらもご覧ください。

ChatGPT を用いることで幅広い業務の効率化が図れる

ChatGPT は無料で利用を始められる生成AIサービスです。利用者には特別な知識やスキルは必要なく、誰でもAIによる恩恵を受けることができます。

ChatGPT の具体的な活用例としては、以下が挙げられます。

  • 質問への回答による業務サポート
  • 文書作成、要約、翻訳
  • アイデア出しやブレインストーミング
  • プログラミング支援

これらを活用することで、人的リソースで行っていた作業を効率化でき、コスト削減や業務スピードの向上につながります。

ただし、ChatGPT には不得意な領域があるほか、セキュリティ面での配慮も必要です。
企業での利用時は、Azure OpenAI Service など安全性の高い環境を検討すると安心です。

TD SYNNEXの充実サポート

世界最大級のITディストリビューター・ソリューションアグリゲーターであるTD SYNNEXでは、Azure OpenAI Service の導入から活用まで、幅広いサポートを提供しています。
実際に導入を検討している方や詳しく聞きたい方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

また、当社エンジニアが実際に Azure OpenAI Service を使った解説記事も公開中です。
特徴や使い方をわかりやすく紹介していますので、ぜひご覧ください。

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[著者プロフィール]
コウヤマヒロシ
ライター兼ITエンジニア。メーカー系SIerで10年以上勤務し、その後フリーランスへ。プログラミングからプロジェクトマネジメントまでの経験あり。セキュリティ対策、IT職種解説、技術紹介など広くIT関連について記事作成を行っている。